62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:39:10.35 ID:GsNnYoHao
口では大丈夫と言っているくせに、涙は、ぼろぼろ、あふれて、とまらない。
決壊した心の堤防は、何一つとして役割を果たそうとはしなかった。
零れる涙と焦げた炭が交じって、ただでさえ分からない味がもっと分からない。
でも、皿が空になるまで、手の動きが止まることはなかった。
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:39:43.96 ID:GsNnYoHao
「……ご馳走様。ごめんなさい、少し、頭を冷やしてくるわ」
「う、うん……ほむらちゃん、一人で、大丈夫?」
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:40:22.91 ID:GsNnYoHao
「あいつ、どうしたの?」
「あ、さやかちゃん……わかんないけど、何か、複雑なご家庭なのかな……?」
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:41:05.43 ID:GsNnYoHao
蛇口から噴き出るぬるい水が、私の髪を乱して流れて行く。
それでもこの火照るような熱を冷やすには十分。
瞼の周りを流れる二つの液体が混ざり、一つの痕跡を掻き消して、排水溝へと吸い込まれる。
水音は私の嗚咽を掻き消して、昼下がりの学校へと溶け込んでいく。
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:41:46.43 ID:GsNnYoHao
思わず怒りの視線を飛ばしてしまうような、悪い冗談。
水道の蛇口を捻って止め、髪の先から垂れる水滴が制服にかかるのも構わず、向き直った。
何かを言われる前に、こちらから先んじて口を開く。
それが八つ当たりなんだろうって、自覚はあったけど。
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:42:36.16 ID:GsNnYoHao
そう言って首を窓に振る。
つられて彼女も窓を見る。
映し出されるのは家庭科室。
楽しそうに食事をする一人の少年と一人の少女。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:43:40.40 ID:GsNnYoHao
「ほら、出して」
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:44:53.91 ID:GsNnYoHao
『よ、マミ、なぎさ』
『いらっしゃい、佐倉さん。美樹さんは?』
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:46:07.20 ID:GsNnYoHao
『そう……でも、その方が都合もよかったのかしら』
『なんかはぐらかしてたっていうか、言いにくそうだったしな』
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/02(月) 22:47:11.35 ID:GsNnYoHao
『……なぎさには話が良く見えないのですが、その親玉というのは誰なのです?』
『んーとな、あたしやさやかのクラスメート。暁美ほむらって奴』
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