7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:24:32.03 ID:gLkbd9Kt0
『神厳山』
それは神のすまわっているとされる神聖な山。そこには“おばあちゃん”が住んでいる。
本当のおばあちゃんではない。昔、幼い頃あの子と一緒に迷い込んだ時出会ったその山に住んでいる人だ。
しばらく会っていなかったけれど、あの子が姿を消してからも私は度々訪れていたので多分分かってくれるだろう。
突然行こうと思い立ったのは、もちろんあの子のことを聞くためだ。あの子はおばあちゃんのことを本当のおばあちゃんのようにしたっていた。
そういえばおばあちゃんは、あの子が消えてから私が一人で行っても何も言わなかった。
何か知っているのかもしれないし、それにあれからも彼女はおばあちゃんのところに来ているかも知れない。
それはなんとなく確信に近かった。私のかんはよく当たる。今日おばあちゃんのところへ行けば何か聞けるんじゃないかと思った。
「……やっぱり、入っちゃっていいのかな……」
神厳山は、『神の山』とあって入りにくい雰囲気がただよっている。
実さいに、親に「入っちゃダメ」と注意されていた。けど、あの日は確か、山からおりてきて迷子になっていた子だぬきを戻そうと入ったのだ。
(それでけっきょく自分たちが迷子になったのだけど)
私はしばらく考え込み、それから以前おばあちゃんに教えてもらった比較的登りやすい道から登りはじめた。
どうせ今まで何度も登ってるんだ。今さら迷っていたって仕方がない。
制服のままなので、スカートだから登りにくい。それから日ごろの運動不足も加わり、五分もしたらもうぜいぜいと息を切らしていた。
「あっれー、おかしいな、この辺りのハズなんだけど……」
それからまた数分、道がわからなくなり私は近くの切り株にへなへなと腰を下ろした。
最後に来たのはいつだっただろう。確かこの時季<時期の間違い>、中学校に入学した直後だからちょうど三年くらい前か。
いくらおばあちゃんでも、もう全然会っていないんだ。だんだん覚えてくれていないんじゃないかと不安になってくる。
「帰ろうかな」
そう思って立ち上がった時、生いしげる草に足をすべらせ派手にころんだ。
結こうな急斜面なので、そのままズルズルと滑り落ちて行く。
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