12:1[saga]
2013/12/08(日) 09:36:57.22 ID:OWwQizcX0
暖かく、外気と隔絶された室内を出ると、肌を刺すような寒気が頬を撫ぜる。
一度身震いをして息を吐くと、どれだけ寒いのか、真白とも言える濃度の空気が宙を舞う。
軋むような木枯らしが通り抜けていくと、私の白い空気が風の吹く方へとかき消されていく。
「もう少し厚着をするべきだったかしらね……」
はて、まさに完全防備、と言っていたのは誰だったかしら。
数分前の自分を殴りたい気持ちを押さえつつ、進む方向へと視線を向ける。
「確か……、こっちだったわよね……」
方角で言うところの西へと独り言を放ち、歩を進める。
心まで寒くなってしまわないよう、けど速すぎて風で頬を切り裂かないようゆっくりと一歩ずつ歩いていく。
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