136: ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2013/12/24(火) 21:45:20.33 ID:dUpbE7GLo
「あれを見るがいい」
指差された方向が示すのは暖炉だった。そしてそこにあるものは、『自分が予想していた通りの物』だった。
「……イヤ」
今度は発言を止められなかった。自分は今どんな表情をしているのであろう。それを認める父の表情は、かつてないほどに緩み、その瞳は爛々と輝きを有している。
暖炉に無造作に放り込まれた『本』の数々。それは他ならぬ、自分の『宝物』、自分の『輝き全て』と言っていい物語達だった。
「察しがいいな?ならば、これから私が『何をするのか』、解るな?」
サディスティックに歪む父の表情からは、その言葉が本気であることを顕著に示していた。この男はやる、自分の顔が『絶望』に歪むその一瞬を見たいが為だけに、一切の躊躇無く、むしろ嬉々として暖炉に『火を放つ』であろう。
「イヤッ!お願い、しますっ!それだけ、は、許して、くださいっ!!」
「何故だ?父はお前の悪癖を治してやろうというのに」
そんなつもりが微塵もあろうはずがない。しかし、そう、とぼける父の顔はどこまでも醜悪であった。だが関係ない、己がどんなに不快な思いをしようと、『それだけは』何とかして防がねばならない。
177Res/149.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。