過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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aho
◆Ye3lmuJlrA
[sage]
2013/12/16(月) 21:48:32.62 ID:pFDECU7w0
「私もね、自分の気持ちが上手く伝えられないの」
まゆはそっと自分の胸に手を添える。
あの人のことを考えるだけで激しく高鳴るこの胸の想い。
今はどう考えても、ちゃんと伝わっているとは思えない。
それはきっと、自分が不器用で伝え方が下手くそだからだ。
「だから、小梅ちゃんが何か言いたそうにしていて、でも上手く話せなくて苦しんでいるのを見て、助けてあげたいなって思ったんだわ。自分の気持ちが伝わらないのって、とても悲しくて、寂しいことだもの」
そして、まゆは小梅を見る。
小梅と、彼女のそばに今も付き添っているのであろう、あの子を見つめる。
「ごめんね。それが寂しいことだって、分かっていたのに。怖がるばかりで、分かろうともしないで……お友達、きっと悲しかったでしょうね……」
まゆの言葉を聞いて、小梅はしばらくの間無言だった。
一瞬だけ、またあの子の方を見て、目を潤ませる。
「あ、あの子、泣いてる……」
「泣いて……そう、本当にごめんなさいね」
「ち、違う、そうじゃ、なくて……!」
小梅は小さく鼻を啜りあげる。
「う、嬉しい、って。あ、あの子、見えない人に、こんなに優しくしてもらったの、初めてって……」
「え……」
「わ、私も……っ!」
小梅の目から、涙が零れ落ちた。
「わ、私も、嬉しい……! い、今まで、あの子のこと、分かってくれる人、いなくて……だ、だから、あの子、まゆさんのこと好きって、言ったとき……ぜ、絶対、分かってもらわなきゃって、私……!」
「小梅ちゃん」
まゆは小梅のそばに身を寄せると、その小さな体を抱き寄せて、何度も何度も労わりを込めて頭を撫でてやった。
自分の気持ちが、少しでも小梅とあの子に伝わるように。
「……そうだ。さっきの質問の返事、まだしてなかったわね」
しゃくり上げる小梅を撫で続けながら、まゆは出来る限り優しい声で語りかける。
「私、少しも怒ってなんかいないわ。ううん、怒るどころか、とっても嬉しい。こんなに優しい子たちに、こんなに一生懸命想ってもらって……嬉しくないはずないもの」
小梅がさらに激しく泣き出したので、まゆは小梅が泣き止むまで、ずっと抱きしめて頭を撫で続けた。
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