6: ◆EOh40d18dA[saga]
2013/12/18(水) 00:25:31.71 ID:jlb8IdPr0
「……あれ?」
ふと、不二咲さんが呟く。何か気付いた事があるのかと、ボクは尋ねた。
「苗木君って……何処かで会った事無いかな?」
「いや、初めての筈だよ」
「ふーん……」
依然として小首を傾げる不二咲さん。
普通に考えて、他人の空似だと思うんだけどなぁ……。
仮に会った事があったとしても、ボクがそれを忘れる訳が無い。
ボクだって男だ、こんな可愛い女の子に会ったなら覚えているに決まっている。
そんな雑談を切り上げて、ボクと不二咲さんは教室を出て辺りを探索を始めた。
購買部や視聴覚室等の看板がある所から考える限り、ここが希望ヶ峰学園なのは十中八九間違いないだろう。
「希望ヶ峰学園ってこんな牢獄みたいな雰囲気の学校だったっけ……」
「苗木君は希望ヶ峰学園について詳しいんだね」
「ん? あぁ、入学が決まってから急いで調べてたから……まぁ、多少はね?」
その調べたって言っても、2chスレを流し読みしただけだが。
だけど、それにしたってここは異質過ぎるんだ。
ここが本当の希望ヶ峰学園じゃなくて、それっぽい場所だとしても。
「……あ、希望ヶ峰学園と言えばさ」
「何かな」
「苗木君はどういう才能を持ってるの?」
「あー……ボクのは才能っていうか、その……」
思わず言葉が詰まる。
負い目がある訳じゃないけど、幸運なんて堂々と胸を張って言える才能じゃない。
いや、正直負い目は多少なりともあるし幸運が才能とも思ってないし。
それでも答えない訳にはいかないので、ボクは渋々と正直に答えた。
「幸運、らしいんだ……」
「へぇ〜、何だかかっこいいね!」
まるで穢れを知らないと言わんばかりに目を輝かせて、不二咲さんはボクに質問を続ける。
他の超高校級の生徒からしてみれば、ボクはただの抽選で入った一般人。
血の滲む努力をした人、文字通り才能に愛された人からすれば僕を好いてくれるとは思えない。
才能も無く、努力をした訳じゃない、たった一回の抽選で選ばれたボクを。
むしろ幸運だなんて冗談にしても笑えないと思ってる人の方が多いんじゃないだろうか。
……ちょっとマイナス思考が過ぎる気もするけど、やっぱりボクは幸運じゃなくて不運なんじゃ?
段々持ち前の長所が消えそうな気がしてきた。
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