過去ログ - 奉太郎「冬空を見上げて」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/19(木) 00:27:17.88 ID:9mtCTMIXo
「で、今日は何の用なんだ」

「…………」

いつの間にか里志の顔から笑みが消えていた。口元も笑っていない。里志なりに高校の時よりはシリアスな雰囲気を出すようになったもんだ。しかし、急に俺の家に押しかけておいて黙り込まれても困る。さっきから時計の針の音が気になる。
ふと、里志が来るまで思い出していたことについて話してみようと思った。

「なあ、里志。高校の頃話した『灰色』って覚えてるか」

「ん、ああ……懐かしいね」

里志は俯けていた顔を上げて、懐かしむように天井の辺りを遠く眺めた。俺も何となしに斜め上を見上げた。
高校生の頃、俺は灰色な生き方を好んでいた。たしか里志の色はショッキングピンクだったか。俺の高校生活は完全な灰色にはなりきれなかっただろう、と今は思う。それは多分、「あいつ」や里志、伊原たちが関わっていたからだと思う。特に「あいつ」の好奇心が爆発した時にはいつも振り回されていた。それに今だってその爆発から逃れることができているわけではない。しかし、あの当時厄介事から逃げようと思っていた時よりは多少の受け入れる体制はできている。
完全な灰色に染まることができなかったことに後悔はない。


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