過去ログ - モバP「ブリッツェンがいなくなった……」
1- 20
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/24(火) 00:09:53.30 ID:iGL7vRyq0

 きゃっきゃきゃっきゃと、道行く幼子の嬌声がにわかにトーンアップする。何事かあったかと首をめぐらせば、
いよいよ雪が降り始めたようだ。

 考えごとをしながら、私はいかほどの距離を歩いていたのだろう。見覚えのない街並みに、私に怪訝そうな眼差しを
向けてくる、やはり見慣れない人波。

 私を見る誰もが、驚いたような困ったような、どうにも形容し難い表情。もしかして私は今、相当酷い顔を
しているのだろうか。そうでもなければ、この冷たい街東京の人々が、一人道行くトナカイごときに目をくれよう
はずもなかろう。

 あまり、注目を集めたくはない。私と主は常にともにあり、そして主役は常に主だったのだ。私は主役を支える、
いわば黒子のようなもの。衆目にさらされるのは黒子の本懐ではない。

 いかんせんここは人が多すぎる。雪も降ってきたし、どこか少し落ち着いて休めるところを探すとしよう。実のところ、
さっきから寒くてたまらないのだ。愛嬌と親しみやすさを醸し出すため、平時あえて垂らしたままにしている鼻水が、
今は平時の倍ほどの長さまで垂れ下がってしまっているくらいだ。

 河原の橋の下にでも行って、心ばかりの暖を取ろう。そう考えて体を翻した矢先。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/19.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice