過去ログ - 【咲安価】 京太郎「これが俺の、最後の……変身ッ!」  最終話【ライダー】
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35: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2013/12/30(月) 02:19:07.59 ID:WKY7KPnwo

もこ「あれ、変だなぁ……変ね」

もこ「どうして……あなた、まだ、なりきってないの?」

もこ「だってあなたはわたしと同じ虚無なのに――そんなの、おかしいよね」


 首を傾げるその姿は、見知った対木もこのものである。
 だけれどもこれは――こんな喋り方をしているなんてのは、一切知らない。

 そして、彼女の言葉によるのなら――


京太郎「お前が……もう一人の、紫のメダルの所持者……!」

もこ「うん、そうだよ」

もこ「わたしがあなたの半身。あなたと一緒の、あの炎から生まれた虚無」

もこ「だから――わたししかあなたのことを判らないし、あなたしかわたしのことを判らない」

もこ「なのに……どうして……?」

京太郎「お前が皆を……!」

京太郎「どうして、お前が……! 今まで、俺たちの手伝いをしてたのは……あれは、なんだったんだよッ!」


 共に戦う仲間だと思った。
 頼りになる、仲間だと――こちらの良きサポート役であると。

 あのような失敗をしてしまったことは……メズールたちを甦らせてしまったことには思うところがあるけれど。
 それでも、対木もこも京太郎の仲間の一人だった。


もこ「?」

もこ「だって、あなたはわたしと一緒だから……」

もこ「だからねっ、あなたのこと、ちゃーんと目覚めさせてあげようと思ったの!」

もこ「全部壊して、何もかも奪って、絶望だけが周りにあって……隣にいるのはわたしとあなただけ」

もこ「それって、とってもとっても素敵だって思わない? 思うでしょ?」

京太郎「何……お前、訳わかんないこと言ってんだよ……ッ!」


 首を傾げながら、紫色の、光のない瞳で辺りを見回して踊る対木もこ。
 寒気がした。鳥肌が立った。
 今まで、須賀京太郎が知っていたあの対木もこはどこにもいない。
 ここにいるのはただ、醜悪な怪物。誰の言葉も聞き入れずに、加速していく虚無の爆弾。


もこ「ねえ、思うよね? 思うよね? 思うよね?」

もこ「どうして目覚めてないの? おかしいなぁ、なんで? どうしてなの? だってあなたはわたしと一緒なのに」


 この女が今まで自分を騙していたことそのことよりも――。
 これまでの仮面の下に覆われていたその本性が、何よりも恐ろしい。
 今までの京太郎の常識には存在していない、悍ましい異形じみた化け物。
 言葉をいくら交わしても、その心の中が通じ合うことは決してない平行線上の異常者。

 これこそが――“怪物(モンスター)”。




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