10: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/01(水) 23:31:03.67 ID:a9ZPEh6eo
はじめは、彼はただ座っていた。
わたしはときどき彼のことを眺めたり、また膝に顔をうずめたりしていた。
けれどやがて彼は、これは僕のひとり語りだから聞かなくてもいいけれど、と前置きをして語り始めた。
「昔さ、仲の良い女の子がいたんだ。
彼女は僕の家のすぐ向かいにある家の子で、幼いときからよく一緒に遊んでいたんだけど、ある日その子は越してしまうことになったんだ。
親の仕事の都合で、っていう話だったよ。
よくある話だけど当時の僕は悲しくて、その子と約束したんだ。
いつか会いに行くよ、って。
彼女は頷いてくれたんだけど、でも悲しいことに、僕は会いに行けなかったんだ。
なぜかって、越したと聞いた先の土地に行ったのに、彼女はそこにいなかったんだ。
もちろん、彼女の親もいなかった。
なにかの間違いじゃないか、って思ったよ。
でも何度調べても彼女はそこに住んでいるはずで、けれど現実は違ったんだ」
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