48: ◆o1H7m0ryfo[saga]
2014/01/09(木) 04:24:29.96 ID:lzpX9+avo
それはいつか彼女が言っていたセリフだった。
場面は違えど、内容は同じ。
戦闘中、夢中になりすぎて意識が消える、という話だった。
意識が消えても、わたしは戦い続けることが出来る――不知火は以前、わたしにそう語った。
「わたしたちは終わった方がいい」
不知火が静かに告げる。
口元が笑っている。
絶対に良くない兆候だ、と感じた。
その次の瞬間に、不知火がナイフを突き出してきたので、ああやっぱり、とわたしは安心した。
自分の想像は当たっていた。
想像は恐怖だけど、現実は恐怖ではない。
少しだけ避けようと思ったけれど、思いが弱かったのか、わたしはうまく避けれなかった。
脇腹を切っ先がかすめて、破けた服の下から血が滲みだす。
すぐに、立っているのが苦しくなった。
脇腹を抑えて地面に座り込むわたしに、彼女がゆっくりとした口調で語る。
「わたしが出撃した最後の戦いで、わたしは死ぬべきだった。
あの戦いが一番、綺麗な時間だったから。
救助しようとした子は見つからないし、うっかり敵に急襲されたりしたけれど、わたしにとってあの戦いが、一番、混じりけのない時間だったの」
恍惚の表情でそう口にしたと思ったら、すぐに次の瞬間には顔を歪めて「なのに……」と彼女は呟いた。
わたしが見たのはそこまでだった。
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