過去ログ - サクラ「誰かを選ぶなんて……!」
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4:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:33:23.49 ID:CQ9q8VX20
その場で殺されるかあるいは……なんて事を想像していたが、男はついてこいとだけ言った。逃げろと必死に訴えるみんなの声が耳から離れない。それでも、私はその言葉に従う訳にはいかなかった。私が守らなければ、仲間が殺されてしまう。そんなの自分が死ぬより嫌だ。

そう覚悟を決めた筈なのに、私はまた泣き出していた。みんなともっと一緒にいたかったし、下らなくても大事なことでも、色々やってみたい事があった。なんで忍者なんか選んでしまったのだろう。アカデミー入学は半強制的だったけど、自分の意志が無かった訳ではない。

幼くて浅すぎた決断に今さら深く後悔しつつも、この期に及んで助けが来るんじゃないかなんて、甘い考えを捨てきれない。自ら選んだ道だとは言っても、助けてもらえるならやっぱり助けて欲しいに決まっている。でも、結局目的地についてもサスケ君もナルトもカカシ先生も、誰も駆けつける事は無かった。極力、期待しないようにはしていたが、落胆と絶望は大きかった。

男が歩を進める建物は、入り口以外は全て埋まっていて玄関も掘り下げられた位置にあり、いかにも陰気な奴が住んでいそうだった。石造りの門には両側に蛇が描かれている。爬虫類は苦手だなーとか下らない事を考えて、自分の未来を想像しないように必死だった。

本当は不安で仕方がなくて今すぐにでも逃げ出したかったけど、自分だって忍者なのだ。先生に認められた下忍で、ナルト達の仲間だ。後悔しても事実は変わらないし、みんなの仲間であることを私は誇らしく思っていた。死を覚悟するくらい忍者として当然なんだと言い聞かせ、暗い廊下に繋がる扉を通った。

所々にしか蝋燭は灯されておらず、足元なんて全然見えない程暗かった。気味の悪い廊下を、気味の悪い男について進んでいけば、たどり着く先も気味が悪いのだろう。恐怖ばかりが頭を支配し、震える体を抱きながら男の後についていった。

先の見えない闇に怯えていた私は、突然歩みを止めた男に、無造作に檻の中へと放り込まれた。そのまま変態男は去っていき、理由も分からないまま私は檻の中に取り残される。暗い檻の壁は冷たく湿気を含み、何かの染みが床一面に広がっていた。とりあえず染みについても自分についても考えたくなくて、ナルト達の事を考えることにした。

きっとカカシ先生ならあの札も何とかしてくれるだろう。あの二人なら自力で剥がせるかもしれないし、いくら大怪我を負ったとしても先生が死ぬはずがない。出来るだけ良い方向に考えてたら、みんなの笑顔が浮かんできて、胸が締め付けられた。

仮に自力で抜け出せるとしても、私は逃げ出す訳にはいかない。みんなに、特にボロボロのカカシ先生に助けに来てもらっても困る。せっかく守ったのに、私なんかのために命を落として欲しくない。

だけど、やっぱり助けに来て欲しかった。みんなに会いたくてたまらない。笑顔を想像して泣くのではなく、笑顔を見て安心したかった。


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