過去ログ - サクラ「誰かを選ぶなんて……!」
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7:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 10:44:14.86 ID:FI/1yvWg0
恐怖を感じながらも、私はどこかで頭にきていた。サスケ君に執着する理由はよく分からないが、どうせろくなことではない。怒鳴り付けてやりたかったが、やっぱり自分はそこまで強くなかった。

「……私はみんなを庇ってここに来たのよ。教えるわけないじゃない」

「そう。なら、みんなのために死ぬ覚悟は出来ているのかしら?」

出来ているはずがない。強がりを口にするのが精一杯で、声も震えている私に問う必要などないだろう。やっぱりこいつは変態だと、恐怖に押し潰されそうになりながら、心の隅で悪態をついた。そんな心の内を知ってか、大蛇丸は楽しそうに笑う。

「別にアナタに聞かなくても死者を復活させる術があるのよ。でも私は出来れば忍術を使いたくない。アナタはここから逃げ出したい、利害が一致しているでしょう?」

「忍術を使いたくない、じゃなくて使えない筈よ。火影様が封印したのは知ってるわ」

「……いいから質問に答えなさい」

伝説の三忍が放つ膨大な殺気は、一瞬でも呼吸困難に陥りそうなほど威圧感があった。込み上げる吐き気を必死に抑え込む。

「まぁ、アナタが思い付かない方法なんていくらでもあるって事よ。それで、サスケ君の居場所を教える気にはなったのかしら?」

こんな奴の言いなりになるのも、サスケ君を売り渡すのも絶対嫌だった。なのに、ガタガタと震える体は体温だけでなく、決意さえもとどめて置けない。話してしまえば、本当に価値が無いような私など、捕まえておく気はないのかもしれないのだ。立て続けに襲いかかる恐怖が頭を疲労させ、思考能力が麻痺していく。何も考えず、悪魔の誘いに飛び付いてしまいたかった。

でも……やっぱり嫌だ。サスケ君の居場所を教えればナルトとカカシ先生もただでは済まないだろうし、第一サスケ君が大蛇丸なんかの手に渡るのは許せない。しかも、それが自分のせいでだなんて絶対後悔してもしきれない。怖くて怖くて仕方がないのに、私は震える声で思いっきり悪態をついた。

「……アンタなんかに教えるわけないでしょ!変態オカマヤロー!」

抑え込んでいた涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。きっと多分絶対殺される。歯が勝手にガチガチと音をたてた。

「フフフ……カカシ君の影響かしら。アナタも私をイラつかせるのが上手ね」

大蛇丸は不気味に笑いながら、檻の扉を蹴飛ばした。大きな金属音に飛び上がるほど驚き、本当に飛び上がったかもしれない私は尻餅をついた。重そうな扉は簡単に吹っ飛び、壁に叩きつけられてひしゃげる。それを横目に見て、頭が真っ白になる程怖くなった。

私は情けない叫び声をあげ、檻の中に侵入してくる大蛇丸から無我夢中で逃げ出した。出入口の方に行く事はできず、とにかく距離をとろうと急ぐ足はもつれて、顔で全体重を受け止めた。受け身もとれない体は無様に転がり、なかなか立ち上がる事ができない。無駄に力がこもった腕を床に叩きつけ、その勢いでなんとか体を起こし這いずるようにして逃げた。武器は没収されていないのに、存在が頭を掠めることすらない。

変態オカマはまた楽しげに目を細め、きっとそんな必要はないのに、わざわざ口から舌で刀を取り出した。私はその異様な光景に釘付けになり、喉だけが高い音を立てて鳴っていた。すらりと伸びる刀身に、涙と鼻血でぐしょぐしょになった私の顔が映る。封印された腕は垂れ下がり、刀を口にくわえていた。

恐怖で色々と麻痺した私は、なんだか意味もなく吹っ切れた。情けない声が無駄に響く。

口からゲロゲロとバッカじゃないの!肌も白すぎてキモいのよ根暗オカマ!もう追い詰められすぎて、今度こそ本当に自暴自棄になっていた。
バーカバーカバーカ!アカデミーのガキみたいな悪口しか出てこない。さすがの大蛇丸も私に呆れたようで、笑みを引っ込め刀を振りかざした。


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