過去ログ - サクラ「誰かを選ぶなんて……!」
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1:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:11:43.35 ID:CQ9q8VX20
最初の演習の時、カカシ先生に脅された。ナルトを殺さなければサスケ君が死ぬと、先生はチームワークの大切さを教えようとやった事だったけど、私はあの時からずっと悩んでいた。もし、仲間を人質にとられたら私はどうすればいいのだろう。

演習の結果、私達は合格しその後も色々あった。波の国の任務もそうだけど、中忍試験や大蛇丸や新しい火影様、嫌な記憶もそれなりにあるけど、どれも印象深かった。その記憶のどの部分を切り取っても、私が役にたっていることはほとんどない。私も試験を合格して下忍として認められたはずなのに、守られてばかりの自分が嫌だった。

今回の任務でもそうだ。私だけではないけれど、私達を庇ってカカシ先生は重症をおってしまった。久しぶりの第七班での任務だったのに、命を落としかけるところまで先生は追い詰められた。その様子を見てることしか出来なかった私は、無力感と罪悪感に襲われた。サスケ君とナルトも私と同じだったようで、何かどす黒い雰囲気を纏っていたサスケ君は、罪悪感のお陰と言うとあれだけど、少し穏やかになっていた。ナルトはとにかくみんなを元気付け、私も一緒になって明るく振る舞った。

五日のびた滞在期間の内に、先生は動けるようになるまで回復した。新しい火影様の影響で、浅く医療の知識がある私は、先生の回復っぷりに忍者の生々しさを感じる。一般人より遥かに早く怪我が治るのは、寿命より任務が優先だから。望んで忍者になったのに、自分達は忍者だからこそ仲間でいるのに、何だか酷く嫌悪感を感じた。

まだ足元が覚束ない先生の体を交代で支え、私達は帰途につく。全快するまで期間を延長出来ないのかと聞いてみたけど、これ以上は無理らしい。何かあったら置いていけ、なんてさらっと言われて三人共凍り付いた。すぐにナルトが明るい声で全否定してくれて助かった。何で自分達は忍者なんだろうなんて、思いたくなかったのだ。

森を横切る道をしばらく進んでいくと、同じ額当てをした木の葉の忍者が、にこやかに手をふっていた。人の良さそうな男は何か伝令があるらしく、手には巻物を持っている。すっかり油断した私たちは、カカシ先生の低い声が聞こえても、反応することが出来なかった。

男が地面を蹴った次の瞬間、ナルトとサスケ君は脇に抱えられていた。更に一瞬遅れて、先生が男に襲いかかる。あまりにも急すぎて敵を敵だと認識する暇もなかったから、私はその場に立ち尽くしてしまった。

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2:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:13:32.54 ID:CQ9q8VX20
ナルトとサスケ君もただ捕まっているわけではなく、抜け出そうと必死にもがいていたが、何かの札を貼られて動かなくなった。二人とも意識はあるのに、地面に転がり喚き散らす事しか出来なくなった。よろめきながら繰り出す蹴りは簡単にかわされ、先生は私の目の前まで吹っ飛ばされる。

やっと我に帰り先生に駆け寄ったが、やっぱり私に出来ることなんて声をかけるぐらいだ。その声に答える余裕もないようで、先生はなんとか起き上がろうと地面から体を引き剥がしていた。

焦るだけで空回りする思考が突然、真っ白になる。胸に重い痛みを感じ、私は背中から固い地面に叩きつけられた。間髪を入れず、先生が踵落としを食らってそのまま踏み潰される。
以下略



3:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:14:36.27 ID:CQ9q8VX20
そして、今まさに私は結論を出せなかった思考に決断を迫られている。あの時と決定的に違うのは、カカシ先生までが敵の手中にあるということだ。ボロ雑巾のように、なんて表現がぴったり当てはまってしまうほど、先生は痛め付けられていた。緑色のベストは踏みにじられ足跡だらけになり、辺りの雑草は血を浴び赤く染まっている。おかしな方向に伸びる手足はピクリとも動かず、まばたきがなかったら死んでいるように見えた。

それに比べたら私なんて全然何ともない筈なのに、身体中が痛くてプライドもズタズタで涙が止まらない。ナルトは何を押さえ込んでいるのかは分からないけど、もう限界だと言わんばかりに目を血走らせていた。サスケ君も、あんなに怖い顔をしているのは見たことがない。

受け入れがたい現実を目の当たりにして、思考が停止しそうな私の耳に男の楽しげな声が響く。仲間を一人犠牲にしろって言ってるだけだろ、早く選ばないと全員こいつのようになるぞ、とカカシ先生はまた足蹴にされた。なぜこんなことになってしまったのだろう。誰か一人を選ばせる事が、こいつにとって何か利益があるのだろうか。ニヤニヤと下卑な笑いを浮かべる顔を見れば、目的なんてないのだと分かった。
以下略



4:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:33:23.49 ID:CQ9q8VX20
その場で殺されるかあるいは……なんて事を想像していたが、男はついてこいとだけ言った。逃げろと必死に訴えるみんなの声が耳から離れない。それでも、私はその言葉に従う訳にはいかなかった。私が守らなければ、仲間が殺されてしまう。そんなの自分が死ぬより嫌だ。

そう覚悟を決めた筈なのに、私はまた泣き出していた。みんなともっと一緒にいたかったし、下らなくても大事なことでも、色々やってみたい事があった。なんで忍者なんか選んでしまったのだろう。アカデミー入学は半強制的だったけど、自分の意志が無かった訳ではない。

幼くて浅すぎた決断に今さら深く後悔しつつも、この期に及んで助けが来るんじゃないかなんて、甘い考えを捨てきれない。自ら選んだ道だとは言っても、助けてもらえるならやっぱり助けて欲しいに決まっている。でも、結局目的地についてもサスケ君もナルトもカカシ先生も、誰も駆けつける事は無かった。極力、期待しないようにはしていたが、落胆と絶望は大きかった。
以下略



5:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/01/04(土) 09:52:12.55 ID:CQ9q8VX20
暗い廊下の先から、人影は見えず足音だけが反響し、少し落ち着き始めていたのに恐怖心がぶり返す。また、あの変態男だろうか。それとも助けがきたのかなんて楽観的な思考を、暗闇から現れた人物は粉々に打ち砕いてくれた。

「久しぶりね……サクラちゃん?」

ちゃん付けされたこともそうだけど、目の前のなよなよした男の姿は私を震え上がらせた。こんな憎い顔を忘れる筈もない。中忍試験の時に私達を苦しめ、サスケ君を未だ苦しめ続けている変態オカマ、もとい大蛇丸だった。血色の悪い肌には大粒の汗がへばりつき、顔はやつれきっている。火影様に腕を封印されていたことを思い出した。
以下略



6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/04(土) 10:14:04.74 ID:XJJo9AdA0
ナルトは、殺せ無いしな、裏切られた心からそこに九尾がつけこむからな


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