過去ログ - 川島瑞樹「今はまだ『川島さん』で我慢してあげる」
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22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/15(水) 01:38:47.44 ID:54l9mAuh0
「それはないです!」

気付いた時には、殆ど叫ぶようにしてそう言っていた。

「あ、すみません。でかい声だしてしまって」
「いえ、大丈夫。少し驚いただけだから」

その自分の声の大きさで、止まっていた時間が元に戻る。自分がいるのは、騒がしい居酒屋の中で、目の前には俺の言葉に目を丸くしている川島さんがいる。

「……まぁ、理由がないわけでもないです。ただ、酒の入った状態で言うのも、何だか違う気もするんですよね。馬鹿馬鹿しいだけに」
「馬鹿馬鹿しいの?」
「えぇ、ほんと、馬鹿な男のちっぽけな感傷ですよ」

落ち着いたとはいえ、頭の中では未だにさっきの川島さんの言葉が響いている。
自分の幼さのせいで、川島さんにあんな事を言わせる程に悩ませてしまっていたのかと思うと、自分が情けなくてどうにかなってしまいそうだ。

「いいわ。本当にくだらなかったら、このお酒で忘れてあげるから」

だけど、川島さんはこんな俺にも笑いかけてくれる。大人らしい、いつもの、余裕のある笑みで。

「……憧れてたんですよ」
「?」
「川島瑞樹に」

だから、俺もいつも先送りにして、未だにできずにいた問題の精算を、ここで行ってしまおうと覚悟を決める。
未熟な子供らしく、酒の力を借りて。



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