11: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 20:50:19.41 ID:dnfxQ29l0
目が覚めるといつも通り通用口から脱出する。
何度目かに寝床を借りた時に、鍵をポストに入れてくれれば勝手に出て行ってくれて良いと
女のお母さんに言われたのだった。僕は少し早起きが過ぎるらしい。
外はまだ薄暗く僕以外に目覚めていそうなのは、新聞配達員と小鳥だけのような気がする。
12: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 20:54:21.79 ID:dnfxQ29l0
男「おはようございます」
男「おはようございます」
男「おはようございます」
13: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:00:13.62 ID:dnfxQ29l0
店長「おう、男。今日ははえーな」
男「不本意ながら」
店長「また居場所が無くなったか?まあ、入れ入れ」
14: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:13:32.22 ID:dnfxQ29l0
店長「あー食った食った。お前今日も弾くか?」
男「ごちそうさまでした。ええ、弾きます」
店長「そうか。わかった」
15: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:24:04.96 ID:dnfxQ29l0
ひと通りの準備が終わって、一番最後に僕の相棒を引っ張りだす。
日に焼けて、薄茶色になってしまった古い古いアップライトの電子ピアノ。
楽器に詳しい人が見ればすぐにわかるような高級モデル。
ボロボロになってしまってはいるが、音はとても素晴らしい。
16: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:28:05.68 ID:dnfxQ29l0
店長「……珍しいな。お前がいつもと違う曲を弾くなんて」
男「そういう気分だったんですよ。幸いまだお客さんは来ていませんから」
店長「いつもと違う曲だから、ミスばっかりだったけどな」
17: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:32:05.80 ID:dnfxQ29l0
少女「お兄さん今日も弾いてるんだね」
男「やあ、下手くそだけれどね」
気まぐれが終わりいつも通りの曲のローテーションに戻った辺りで
18: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:40:14.04 ID:dnfxQ29l0
少女「大事なこと教えてあげようかと思ったけど、けちんぼのお兄さんには教えなーい」
男「え?大事なことって何さ?」
思わず手を止めてしまう。
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/17(金) 21:40:43.71 ID:NODhsFGgo
良スレ
20: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:48:32.40 ID:dnfxQ29l0
男(寂しくなるなあ)
女の子が弾いた別れのエチュードを反芻するように弾いてみる。
僕も女の子と同じ所で手が動かなくなってしまった。
21: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:53:13.25 ID:dnfxQ29l0
店長「男。今日はそろそろ閉めるぞ」
男「はい。わかりました」
店長「今日は……まあ泊まっていけよ」
68Res/39.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。