15: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:24:04.96 ID:dnfxQ29l0
ひと通りの準備が終わって、一番最後に僕の相棒を引っ張りだす。
日に焼けて、薄茶色になってしまった古い古いアップライトの電子ピアノ。
楽器に詳しい人が見ればすぐにわかるような高級モデル。
ボロボロになってしまってはいるが、音はとても素晴らしい。
16: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:28:05.68 ID:dnfxQ29l0
店長「……珍しいな。お前がいつもと違う曲を弾くなんて」
男「そういう気分だったんですよ。幸いまだお客さんは来ていませんから」
店長「いつもと違う曲だから、ミスばっかりだったけどな」
17: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:32:05.80 ID:dnfxQ29l0
少女「お兄さん今日も弾いてるんだね」
男「やあ、下手くそだけれどね」
気まぐれが終わりいつも通りの曲のローテーションに戻った辺りで
18: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:40:14.04 ID:dnfxQ29l0
少女「大事なこと教えてあげようかと思ったけど、けちんぼのお兄さんには教えなーい」
男「え?大事なことって何さ?」
思わず手を止めてしまう。
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/17(金) 21:40:43.71 ID:NODhsFGgo
良スレ
20: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:48:32.40 ID:dnfxQ29l0
男(寂しくなるなあ)
女の子が弾いた別れのエチュードを反芻するように弾いてみる。
僕も女の子と同じ所で手が動かなくなってしまった。
21: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 21:53:13.25 ID:dnfxQ29l0
店長「男。今日はそろそろ閉めるぞ」
男「はい。わかりました」
店長「今日は……まあ泊まっていけよ」
22: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 22:00:26.91 ID:dnfxQ29l0
店長「しかし今日は珍しかったな」
男「何がです?」
店長「お前がいつもと違う曲を2曲も弾いただろ?」
23: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 22:05:33.41 ID:dnfxQ29l0
できるだけゆっくりと、壊れ物を扱うように自らの身体を洗って
浴室から出る。
男(もう眠っていると良いけれど)
24: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 22:09:30.84 ID:dnfxQ29l0
店長「……娘……」
男「……」
僕が食べてしまった朝食を食べるべき人。
25: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 22:15:39.78 ID:dnfxQ29l0
翌朝、朝食を食べる店長はいつもと変わらなかった。
僕もできるだけいつも通りでいられるように努めた。
朝の準備を終えて、相棒を引っ張りだした所で、
珍しく店長が僕の近くに腰掛けた。くたびれた丸椅子が可哀想だ。
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