31: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:04:53.07 ID:bXUUoVJp0
お店を開けたまま食べる夕食の席で、珍しく店長は無言だった。
いつもの銀色の缶ビールではなく、ウイスキーを煽っていた。
僕は食事を終わった途端に相棒を弾き始める。
ヘッドホンから音を出すようにして、変わらないローテーションを始める。
32: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:09:08.53 ID:bXUUoVJp0
店長「おう、じゃあ……店じまいに……すっかあ……」
また僕は時間を忘れていたらしい。
辺りを見回せば、どの家にも明かりは灯っていなかった。
33: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:12:08.39 ID:bXUUoVJp0
?「それじゃあ、少しは変わったんですかね」
男「……はあ?僕は昔のことはあまり知らないので……」
店長「男ぉ……お前誰と喋ってるんだあ……?」
34: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:16:37.32 ID:bXUUoVJp0
そして、店長の首のあたりを両手で掴み、強引に顔を上げさせた。
?「ただいまっ!」
店長「……は?」
35: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:22:14.40 ID:bXUUoVJp0
店長「お前がラヴェルなんかを弾くからだ!」
娘「はいはい、親子が再会できるきっかけを作った恩人になんてこと言うの!それよりも、具合悪いならさっさと
トイレにでも行って吐いてきなさいっ!」
36: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:32:33.37 ID:bXUUoVJp0
娘「あー……そうだったんだ。私のお母さんが死んじゃった時にね、喧嘩したの。お父さんと」
男「……」
娘「続けるね。喧嘩の内容なんて、どうでも良い事。そして、どうしようも無い事だったの。お母さんが
37: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:39:38.36 ID:bXUUoVJp0
店長「娘は本当に馬鹿だな」
男「……店長」
娘「お父さん!なんでっ!?」
38: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:45:39.02 ID:bXUUoVJp0
僕が公園で凍えながら一夜を明かし、忘れ物に気づいて
店長の店に戻ると、
店長「すまんっ!」
39: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:51:09.97 ID:bXUUoVJp0
店長「何の気の迷いだったのかは知らないが、お前がラヴェルを弾いて、あの女の子がショパンを弾いて、
急に怖くなったんだ。娘が二度と会えないどこか遠くに行ってしまうんじゃないかって」
男「……」
40: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/17(金) 23:56:34.94 ID:bXUUoVJp0
そう言って店の奥に引っ込んでしまった店長は心底しょぼくれていた。
男「それはそうと、店長からは何て連絡があったんですか?」
娘「あー……無言電話よ無言電話。何にもなし」
41: ◆ukweaVAfH6[saga]
2014/01/18(土) 00:00:35.98 ID:x25tlFGs0
男「その時に弾いていたのは?」
娘「きらきら星。しかも連弾用の」
男「……似合わないですね」
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