過去ログ - モバP「いいお酒が手に入ったので」その2
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122: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2014/02/12(水) 17:58:57.35 ID:YF7uanpd0

 トライアドのアルバムはその年一番のスマッシュヒットとなり、年末の音楽イベントを総なめにした。
 私がプロデュースで参加したことは、小さく報道されたものの。
 その記事は業界の波に、静かに埋もれていく。
『高垣楓』の名前は人々の記憶の、ほんの片隅に残る、そんな存在となった。

 トライアドプリムスの勢いは止まらない。
 年が明け3月に発売したアルバムも、順調に売れている。
 そして3月の吉日。あの人が退社する。

P「えー、なんと言いますか。わざわざこんな盛大に歓送会を開いていただき、大変感謝します」

P「多くは言いません。今まで大変お世話になりました」

P「とはいっても、これからも皆さんと一緒に仕事をさせていただくことになってますので、結局変わらないんですけど」

 その言葉に、事務所のみんなが笑う。

P「でも、お互いによい緊張を持って、これからもがんばっていきましょう」

P「どうぞこれからも、よろしくお願いします」

 あの人は深々とお辞儀をした。

スタッフ「ぱちぱちぱち……」

 拍手の中、私は花束を持ち、あの人に渡す。

楓「お疲れさまでした。これからも、よろしくお願いしますね?」

 凛ちゃんが作ってくれた特製の花束。
 あの人はうれしそうに、それを眺める。

P「ありがとう」

 事務所内で、私たちは結婚していることは周知の事実なのだけど。
 でも、今日だけは。
 あの人は、送られる人。私は、送る人。

 あの人の机はしばし、空席となった。

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