12: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/01/20(月) 19:15:28.17 ID:lC4fHmx5o
「まぁったく、お前はこんなことも出来んのかっ! この役立たず、能無しっ!」
罵声が飛ぶ。ついでに、俺の顔面にはクリップでとめられた五、六枚の紙束が投げつけられる。
いつもの光景で、いつものことだ。もう慣れたことで、何せ頭に内容が入ってこないようにする、という新しい技能を修得するぐらいだ。
「この薄っぺらい冊子以下の紙屑で、どうやってプレゼンの資料にするつもりだぁ!? 参考資料のさの字にもならんわっ!」
『……申し訳、ありません』
もはや思考も停止しながら、ただただ平身低頭するだけだ。これほどの罵声をしょっちゅう浴びて、よくクビにならないものだ、と思う。
まあ、今回のこともきっと、俺が悪いのだろう。自分にそう言い聞かせる。
事前情報も何も知らされず、明日のプレゼンで使う資料を集めておけ、と前日の終業時間に言われて、必死こいて集めれば数が足らんだの、見当はずれだの、文句を言われる。
ここにいる人間に比べりゃ、俺の能力なんてミジンコのヒゲの先にもならんのだろうけど、せっかく作ったものを一読もせずに投げ捨てられるのは、少々悲しいものがある。
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