3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:23:39.47 ID:uoPFj+HD0
  
  
 「旦那様、旦那様はどちらに?」 
  
 それから、一年近くたったある日の事だった。 
4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:25:21.07 ID:uoPFj+HD0
  
 世間の流行や情報とは、殆ど隔絶されたこの家だけに、その名を聞いても分からなかった。 
 その小さな広告の中の娘の姿に、私は引き込まれていた。 
 何が、娘を変化させたのか…… 
 私は、少し考えると、執事の原を呼び出した。 
5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:25:49.76 ID:uoPFj+HD0
  
 「まさか、旦那様がテレビをお買い上げになるとは思いませんでした」 
  
 驚いた様子で、運び込まれてくる液晶テレビを見ている老執事が、目を白黒させている。 
 まるで、私がテレビを知らないかのような驚き方でもあったので、そのことも軽くたしなめておいた。 
6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:26:26.36 ID:uoPFj+HD0
  
 女中が不思議そうな顔でこちらを見ている。 
 余程、怪訝な顔をしていたのだろう。 
 何でもないという風を装うと、私はそのまま自分の書斎へ戻る。 
  
7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:27:11.84 ID:uoPFj+HD0
  
 しかし、それは、貴音の好きにさせるという私の意に反することだった。 
 四条たる者、自らの力で事を成し遂げる事が出来なければどうするか。 
  
 「……私は、あなたの思うとおりにすればいいんじゃないかと思っているのですが」 
8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:27:42.66 ID:uoPFj+HD0
  
 付き人もつけずに出かけたのも久々だが、東京まで出たのも久々だろう。 
 あふれんばかりの人の波を進みながら、調べさせておいた、765プロダクションへと向かってみる。 
 鉄道の乗り継ぎを何か生かした後、ようやく、そこへたどり着いた。 
 小さな雑居ビルの中に入っている事務所の窓には、「765」と書かれていた。 
9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:28:08.56 ID:uoPFj+HD0
  
 家の者に調べてもらった雑誌に載っていた娘達と同じ、と言う事は、彼女達が、あの765プロのアイドルと言う事か。 
  
 「あのぉ……どうか、されましたか?」 
  
10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:28:46.30 ID:uoPFj+HD0
  
 招き入れられた事務所の中は、こじんまりとしていた。 
 ある意味では、生活観の滲み出ている空間である。 
 音無と名乗った女性の入れてくれたお茶の味は、何だか落ち着くものだった。 
 彼女だけに名乗らせても不公平だ、私も名乗ることにした。 
11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:29:14.93 ID:uoPFj+HD0
 「でも、びっくりしました、雰囲気といい、やっぱり貴音ちゃんのお父様ですね」 
  
 そんなに似ているのだろうか? 
  
 「申し訳ありません、本来なら担当のプロデューサーとお話していただくのが良いんですが、生憎、まさに今、貴音ちゃんのロケに付き合っていまして……あっ!そうだ、確かお昼の番組だから、今やっているかもしれません!」 
12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:29:42.03 ID:uoPFj+HD0
  
 『懸想文、抱え待つ身に、積もる雪。出張版、四条貴音のらぁめん探訪。皆様、いかがお過ごしでしょうか。暦の上では大寒と言う事で、皆様、寒さに体調を崩されたりはしていないでしょうか』 
  
 娘の、アイドルとしての仕事ぶりを見て、私は安堵した。 
 本当のところ、何をしているのか分かって居なかった。 
13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/20(月) 23:30:47.22 ID:uoPFj+HD0
  
 765プロを後にした私は、東京の旧知の友人の家に立ち寄った。 
  
 「君が私のところに来るのは、もう10年ぶりではないかな」 
  
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