4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:26:37.75 ID:wTtaWsb20
「貴音様!」
血相を変えたじいや…この屋敷で執事を勤める原という…が、私に駆け寄ってくる。
「東京へ向かわれるとお聞きしました…なぜ、もっと早くに教えてくださらなかったのですか…!」
叱りつける声は、普段の厳しさ、そして優しさが綯い交ぜになった、複雑な声音でした。
震える声を抑えるように、咳払いしたじいやは、私の手を取り、銀色の鍵を握らせました。
「…貴音様が、あちらに到着するまでに、全ての用意は整えます。ですが、それ以上のことは、出来ませんぞ」
それでいい、という風に、私は頷きました。
「…どうか、お体にはお気をつけください。貴音様、じいは貴女のような方にお仕え出来て幸せでございました」
皺の刻まれた顔をくしゃくしゃにして、じいは、いつもと変わらない折り目正しい礼を私に向けます。
ただ、その背中が震えていることを除けば。
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