過去ログ - モバP「アイドル、だろ?」
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13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/01(土) 16:03:32.33 ID:M1p+iqog0
「今ほど充実してなかっただろうとは思うけど、もっと意外な幸運を掴んでいたかもしれない。それは、誰にも分からないことだから」
「……うん」
「加蓮の悩みとは、少し性質が違うかもしれないけどな。でも、最初そういう態度でアイドルに向き合っていた加蓮だからこそ、見えている世界があるかもしれないだろ?」

一度、この世界に打ちのめされた俺だから、加蓮の焦りも分かる気がする。
一心不乱に理想を目指す凛が眩しく見えることがあるのだろう。
だけど、それが眩しく見えることそのものが、財産となることもあるはずだ。

「そう、かな?」
「そんな加蓮だからこそ、凛や奈緒と組ませているんだ」

いつか、奈緒が言っていた気がする。凛と加蓮の目指すもの。欲しいもの。奈緒が護りたいもの。
本当に、不思議な関係だと思う。年齢もバラバラで、趣味も違って、性格も。だけどお互いに認め合って、高め合える仲間。
だから本当は、俺なんかの言葉は加蓮には不要なんだろう。凛と奈緒の二人がいれば、きっと加蓮は何度でも立ち上がれるし、挫けそうな高い壁をも乗り越えていくだろう。
だけど、せめて。二人がいない今くらい、加蓮の助けになりたい。そう思う。

「……そっか」
「気休めくらいにはなったか?」
「ん、ちょっと気楽になったよ」

俺の言葉がどのくらい届いたろうか?
少なくとも加蓮の声音が、柔らかくなったように感じ、俺も内心息を吐く。

「ありがとう、Pさん」
「うむ。まぁあんまり思い詰めず、気楽になりすぎず、いつもの加蓮でいてくれ」
「ん」

加蓮は小さく頷いてから、大きく息を吐き出して再び窓の外へ視線を投げる。
それから暫く、沈黙が続いた。不思議と、心地のよい沈黙。



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