過去ログ - 翠「銀紙に、微かな思いを」
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7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/12(水) 22:07:57.83 ID:slx1J284o


 ひとしきり話し込むと、不意に沈黙が訪れました。
 話題が一段落すると突然やって来る、心地良い間とは、まさに今のことなのでしょう。

 あまり匂いを事務所内に立ち込めさせるとよくないという理由で窓を開けて換気を続けていたため、もう先ほどのような甘い空気は去って行ってしまっています。

「……ちゃんと渡せるかな」

 その中で、千鶴さんがぽつり、両手で持った湯のみの水面を見つめながら呟きました。

 言葉だけ見ればとても不安がっているような、そんな揺らぎを感じてしまいますが、実際はそうではありません。

 悩ましいというよりは、諦めのような感情。
 この先が見えているかの如く自嘲する声色でした。

「あのPさんですから。心配しなくとも受け取ってくれます」
 彼女の発した言葉がどういう意味なのか、ぼんやりとですが伝わってきます。

 ありすちゃんも千鶴さんも、どちらも直接のPさんに対してのアプローチは、全て素直にという風には中々できないみたいです。
 当然嫌ってなんかは居ません。

 ですが、どうしても気恥ずかしさがある、ということなのでしょう。

「わかってるけど……いざその時になったら」
 恥ずかしさが上回って上手く伝わらないのではないか、そういう事を言いたげな言葉でした。

 一方、ありすちゃんは近くに置いてあった鞄からタブレットを取り出して操作をしているようでした。
「……何をしてるんですか、ありすちゃん?」

 無心に画面を人差し指でさすっているので気になった私が声をかけると、彼女はタブレットの画面をこちらに向けて見せてくれました。

「調べ物です。ネットには上手い渡し方をレクチャーしてくれる所があるんです」
 勿論渡し方というのはチョコレートの事で、わざわざ拡大してくれたのを見ると渡す状況やら仕草、言葉などを色々まとめてあって、いわゆる『まとめ』とのことです。

 私はそういう物に詳しくないのですが、ありすちゃんの話によると大抵誰かがこうしてまとめて一つの記事にしてくれるそうです。





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