13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:25:07.60 ID:lf+VB/Zqo
こうしてみるとレッスン場は普段より広く、そして寒々しく感じられる。実際
には冷暖房がついているので暑い寒いということはない。今も動いた後なので
体は暑いくらいなのだ。それなのにどうしてこんなに寒く感じるのか。
「一週間とは言え、かなりのレッスン量をこなしたし、君には元々の能力があ
る。そういった意味では明日のライブバトルはいい出来になるだろう」
レッスンの終わり。トレーナーが凛に語りかける。しかしどこか引っかかる言
い方だ。凛は汗を拭き、立ち上がる。
「それだけではないってことですか」
「そうだな。無論それだけではない。ダンスがうまいだのボーカルが素晴しい
だのヴィジュアルが美しいだのそれも確かに重要ではあるがそれが全てでは
ない。それは君だってわかるだろう」
「わかりません」
凛の心のどこかにあるぼんやりとした何か。そのはっきりとしないヴィジョン
の正体がトレーナーの言うそれなのかもしれない。それならその答えをここで
聞きたい。
トレーナーは悩むそぶりを見せ、口を開く。
「君は……君はどんな未来を夢見てアイドルをやってきたんだ?」
「どんな……未来?」
トップアイドルになってプロデューサーを喜ばせたい。それが凛が夢見てきた
こと。それなのになぜだろうか。凛にはそれが違う何かに思えてきた。
「……余計な事を言ったかもしれないな。何にしろ、今の君はトップクラスの
アイドルであることは間違いない。自信を持ってライブするんだぞ」
そう言ってトレーナーは出て行った。トレーナーは励ますつもりで最後の言葉
を言ったのかもしれない。しかし今の凛にはそれが不安を煽るものにしか聞こ
えなかった。
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