7: ◆ZuU1SJY84s[saga]
2014/03/02(日) 22:00:05.26 ID:DxqWKKcK0
急に私を連れ出したことを疑問に思ったのだろう。親友がその事を問いかけた。
兄は少しだけ考えるような仕草をした後に何事もなかったかのように答えた。
兄「今日は弁当を断ったんだ」
私の家は複雑だ。兄が断るという言い方は、家族としては好ましくないだろう。
しかし、なんでも完璧にこなしてしまう子供は、親にとっては扱いづらい。
家族が兄に対していつも敬語なのがいい例だろう。
兄「妹が、弁当を忘れたのではない理由もそれだ」
なんですと、初耳だ。なんで断ったのかが分からないけど、嫌がらせかと思った。
思ったところで聞くことは出来ない。その刺すような目線からどう聞けばいいのやら。
私にはそんな勇気はない。なんか文句ある?人生負け組でいいっスよ。
親友「どうしてですか?」
兄「…」
兄の箸が止まった。空気も凍った。私の周りだけの空気がマイナスになっていく。
心なしか周囲で食事する人たちの声も小さくなった気がした。
親友は問う。真っ直ぐに兄を見つめてーー。
兄「昼食を抜けば体には少なからず負担が増える。そうなったら午後の授業に支障が出るし、体の防衛機能によりーー」
親友「いえ、そうではなくて嫌がらせで…という意味です」
静琉様、貴女は天然ですか?それとも爆弾を嬉々としてリヤ充に投げることのできる存在なのですか?
私は泣いていたかもしれない。それだけ怖かった。兄がどんな反応するかなんて全く分からなかったからだ。
意を決して、私が見たものは驚くべきものだった。
兄「…い、いや。そうではない」
兄の動揺する姿を初めて見た。普通の兄妹なら普段から見る機会ならいつでもあるだろう。でも何回も言うようだけど私の家族は変わっている。兄は完璧なんだ。良いことであれ悪いことであれ、なんでも家族としてはそつなくこなすことのできる人間。褒め言葉ではない。
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