23:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:51:48.54 ID:bEFC5GTXo
私の通う高校はキャンパスが二つある。
来週の半ば以降から、そのうち一方のキャンパスに先生は移ることになった。
向こうの英語の教員が入院したらしい。
先生は英語の担当で、担任も持っていなかったし、
部活の顧問もやっていなかったから、白羽の矢が立ったのだった。
「千早の歌も暫く聴けないな」
暫く、と軽く含みを持たせて、先生は腰を上げた。
「異動の準備、しなきゃ」
そう言って、彼は階段を降りて行った。
彼の姿が見えなくなって、暫く経ってから私は目を閉じて考えた。
今の気分は――エマーソン・レイク・アンド・パーマー、展覧会の絵より、"賢人"。
グレッグ・レイクのアコースティックギターの爪弾きが、私の耳を内側からくすぐる。
私は彼のように歌えない。私は歌い始める。
先生、聴こえますか。私の声は、職員室に筒抜けているんでしょう。
優にも、先生にも、誰にも、私の声が届かなくなったりしたら、私の歌は跡形もなく消え去ってしまうかもしれません。
歌っている間はオーディションのことを忘れた。
28Res/29.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。