過去ログ - なずな「シロツメクサの願い」
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172: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:17:25.39 ID:bXxSq3Ge0
103号室の前に戻り、乃莉ちゃんに声を掛ける。


なずな「じゃあね、乃莉ちゃん」

以下略



173: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:27:41.28 ID:bXxSq3Ge0
自転車で10分ちょっと走ると、ちょうど1年前まで住んでいた家に到着した。
開けっ放しのドアから、忙しそうに家具を運んでいる両親の姿が見える。
これを帰ってきたというのか、それとも新居に越してきたというのか分からず、
「ただいま」と言っていいのかどうか迷いながら、私は玄関をまたいだ。
私に気づいた両親が、嬉しそうな表情になって作業の手を止めた。
以下略



174: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:30:08.56 ID:bXxSq3Ge0
自分の部屋に入り、段ボールだけが置かれた殺風景な部屋を見渡す。
去年まで、この部屋でどんなふうに過ごしてたんだっけ。
どこに何を置いていたのかもなんだかうろ覚えで、思い出すのはひだまり荘の203号室のことばかりだった。
何から手を付けていいのか分からなくなってしまうけれど、とりあえず段ボールを開けないことには始まらない。

以下略



175: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:31:16.44 ID:bXxSq3Ge0
なずな「お母さーん」

なずな母「どうかした?」

なずな「ハンガーってある?」
以下略



176: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:32:15.63 ID:bXxSq3Ge0
しょうがない。手当たり次第に段ボールを開けていく。
お皿とかフライパンとか。この箱じゃない。
こっちは……また洋服。ハンガーは入っていないみたい。
これはかなり重いから、多分本とかが入ってる箱かな。多分これじゃないけど、一応開けて……

以下略



177: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:35:14.85 ID:bXxSq3Ge0
なんでこんなところに?
混乱しながら葉の枚数を目で数える。いち、に、さん、よん……
四葉の、クローバー……?

乃莉ちゃん!
以下略



178: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:40:46.98 ID:bXxSq3Ge0
1年前の、ひだまり荘への引っ越しの日と、同じ道を同じ自転車で走っていく。

去年は不安で胸がいっぱいだったけれど、今は違う。
だって、どんなに不安でも、怖くても、寂しくても、変わっていく勇気をひだまり荘で貰ったんだから。

以下略



179: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:42:45.76 ID:bXxSq3Ge0
なずな「ねえ、乃莉ちゃん、言ってたよね。私に引っ越してラッキーだったって思えるようになってほしいって」

乃莉「へ?……ああ、クローバー探してたとき?」

なずな「うん」
以下略



180: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:44:35.18 ID:bXxSq3Ge0
なずな「私の大好きな人が、願っていてくれるから」

なずな「これからの私が、きっと幸運であるように、って」

乃莉「……それって」
以下略



181: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:47:24.63 ID:bXxSq3Ge0
もっと大切なこと。一番大切なこと。
それを、どんなふうに言葉にすればいいのか分からなくなって、言葉を繋げられなくなった。
そんな私を見る乃莉ちゃんの表情が、ふわりとした優しい微笑みに変わったのが、私の目にスローモーションで映る。
ふと視線を落とすと、その時初めて四葉のクローバーをまだ手に持っていたことに気づいた。
その四枚の葉が、まるで私にきっと大丈夫、と語りかけているように感じられた。
以下略



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