過去ログ - 一夏「出会いが人を変えるというのなら――――――」
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301: ◆G4SP/HSOik[saga]
2014/03/12(水) 10:39:54.16 ID:lu3tS7gx0

使丁「???」

担当官「どういうことだ? あれだけの荒波や急流の中で一定の範囲から食み出さずに漂っているぞ……」

副所長「へえ、そんなことまでできるようになったんだ」

使丁「…………今どうなってる?」

副所長「みんなは波だとか的だとかそういう表層的に見えることだけに囚われて、水面下の出来事にまで目がいかないようだな」

副所長「そういえばラウラが、今の一夏の状態を“くらげ”のようだと喩えたが、ある意味それは正しい」

副所長「だが、底が浅いな」

担当官「はあ…………」

副所長「知っているか? ――――――くらげの生態・飼育のやり方ってやつを」

使丁「いや、知らないな。教えてくれ、“プロフェッサー”」

セシリア「それはぜひとも私にもお聞かせください、“プロフェッサー”」

担当官「おお、オルコット嬢」

副所長「それじゃ、」


――――――プランクトンって言葉を知っているかい?


プランクトンっていったら最近の理科の教科書だと顕微鏡を覗いて初めて目にできるミドリムシとかアメーバとかのことを指してるんだけど、

実際はプランクトンは遊泳能力が無い・乏しい水生生物のことを指す生態学の用語でね。ミドリムシとかアメーバみたいなのは底生生物:ベントスと呼ぶ。

――――――さて話は戻すが、くらげはプランクトンであり、ただ海流に揺られているだけに見える。

だがな、ああいうのを飼う時には必ず水流を水槽に造ってやらないといけないんだ。

そうしないと自らの重量でどんどん沈降していって、ぷにぷにの身体が地面について、身体に害してしまう。

だから、遊泳能力のないプランクトンだけど、必死になって泳いで大切な身体を触らせないように頑張る。

放っておくと、やがては衰弱死する運命にあるというわけだ。

そう、――――――『漂う』っていうことはただ力を抜いてそこに居続けているというわけではないのだ。

そこには繊細な力加減――――それこそ無駄な力みを排する合理化が図られており、全力を出しきることよりも遥かに難しい奥深い世界があるのだ。

ほら、見てご覧。


――――――荒波の中を漂い、そこに居続ける彼の姿を。





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