176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/28(月) 18:35:58.54 ID:S3TlNWjd0
「な……」
みくは驚愕の声を上げた。
卯月は確かに寝ていた筈だし、彼女を起こすような声も出しては居ない筈だった。
――そこでみくはハッとした。
幸子が、入り口付近で足を動かしていたことを思い出したのだ。
あれは、そこで寝ていた卯月を起こす為の――
「おいで」
そこまで思い至った時、卯月は腕を大きく広げていた。
優しく、暖かく、そして、かつてみくが拒絶した、あの時と同じように。
「私が、全部受け止めてあげる」
しかし今のみくには、それを突っぱねる力は残されては居なかった。
まるで誘蛾灯に吸い込まれるかのごとく、輝く彼女にゆっくりと近づくみく。
そうして、すっぽりと、卯月の胸元にみくが飛び込んだ。
みくは、人の爆発点には立ち入らない。
それは彼女の本質であり、特技でもあり、また呪いでもあった。
他人だけではなく、自分を爆発させることも、みくには出来ないのだから。
だから、卯月がそれを踏み抜いた。
みく本人にも立ち入ることが出来なかった地雷原に、卯月は飛び込んだのだ。
それを、全ての業を包み込めることが出来るのが、島村卯月だった。
卯月は胸元に顔埋めたみくをきつく、強く抱きしめ、そして、言う。
「……頑張ったね」
もう、みくは限界だった。
「う、あ、ああああああああああああああ」
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