177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/28(月) 18:36:26.04 ID:S3TlNWjd0
押し殺していた泣叫が。
なかったことにするつもりだった悲しみが。
見せるつもりがなかった弱さが。
今ここで、爆発した。
どうしようもなく、彼に恋焦がれていた。
一人で、この過酷な世界で生きて来た自分を見つけてくれた、あの人。
立場の問題も。年齢の差も。自分が、恋愛の対象になっていないことも。
全てが分かって、尚、それでも、みくは。
同じくをして、みくは今の居場所も好きだった。
夢見ていたアイドル。志を共にする仲間。それもまた、愛していた。
「うあ、ああああああああああ、なんでっ、なんでっ、あ、ああああっ」
欲しかった。何もかも、手の内に入れたかった。
一つも零すことなく、全部を掌に抱えたかった。
しかし、いくら彼女が才気溢れる人間であったとしても。
所詮、未だ幼き少女。それは、ただの儚い空想でしかなかったのだ。
「好きだった……ホントにっ、ホントに……みくはっ、ずっと!」
結末は、これだ。
愛した男は手に入らない。
無理にこじ開けようとすれば、今度は世界が壊れる。
愛した形跡も見せられない。
そうやって、一人に固執するのは、あまりにも自分じゃない。
残ったのは、弱い自分だけ。
進み行く仲間の背中を眺め、自分は泥沼に一人。
しかも、その泥の中でも、彼女は只管に踊っていなければならない。
これが、あるいは末路なのだ。
全てを手に入れんとし、全てを押し殺そうとした、愚かな末路。
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