15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/19(水) 22:37:01.98 ID:HhyCdihT0
歩くのがどんどんと苦になってきたとき、目の前に広がる建物の高さに驚いた
やがて乗り物が自分の前に現れ、一人の少女が顔を見せた
伊織「ようこそ、旅の人。ここは笑顔の地、最高級のおもてなしをするわ」
にひひと笑い、乗り物に乗せられどこまでも進んだ
随分進み着いた先、見えた建物見上げれば、天にも届く背の高さ
この地はとても栄えているようだ
伊織「急ぎで用意したものだから、大したものはないけれど」
そういった少女が召使に用意させたものは、この世のありとあらゆる食文化が詰まったようなフルコース
1口食べたら頬が落ち、2口食べれば虜となって、3口以降は満腹になる腹さえ恨めしくなる
食事を終えれば風呂に案内され、疲れをいやすことになった
霞んだ目が見せた幻か、水平線が見えるほど続く湯船
風呂を上がればふかふかの布団に包まれた
柔らかいという感触が自分の全てを優しく包み込んでくれた
世界中の悦だけを切り取ったようなこの地は誰しもが夢見た桃源郷
でも彼女はこの幸せを笑わない、彼女にとってはこれが普通
だから彼女は幸せを知らないんだろう
隣の地へ行けば、きっと彼女は今の幸せに気がつくのに
この地の悦を、彼女に分けてあげられればいいのに
不幸を知らない少女と、幸せを知らない少女
きっと二人共同じなのに
もしこの幸せを奪えるものならば、義賊になることも吝かではない
この地の不幸を祈りながら、次の地へ足を伸ばした
42Res/55.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。