18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/20(木) 22:25:13.64 ID:y5RLkiyW0
歩いてきたのは望みの地
少女は今も月を見上げていた
貴音「また会いましたね、旅の方」
月の明かりに照らされた彼女の笑顔は、ここに居ないかのように儚かった
工事現場に置いたまま、忘れられてしまったつるはしやシャベル等の道具を持って、
自分は瓦礫の山を片づけはじめた
少女はそれを見ることなく、月を只管(ひたすら)に眺めていた
―――
――
時間を確認することをやめてから、幾らか経って
やっとの思いで、この地をきれいに整えた
いつの間にか少女はこちらの様子をうかがっていた
きっと少女はこの地に絶望をしていた
きっと少女は無理やり月へと希望を託した
溺れてしまった者に与えられた藁を
少女は必死で縋(すが)っていた
そんな少女に必要なのは、この地の希望
ようやく植え終えたこの花々もそろそろ満開になった
貴音「その美しい花は、何というのでしょうか」
この花は月見草、きっと貴方に一番似合う花
あの月が地の果てへ落ちたとしても、この花の美しさは残るだろう
気がつけば、少女の頬に一滴の涙が線を引いた
貴音「ありがとうございます、旅の方」
貴音「私は明日への希望を望むばかりで、今を見ることはありませんでした」
貴音「ですが、もう大丈夫です」
儚かった少女の姿は、やがて強い生気を帯び出した
貴音「この花…わたくしの希望として、立派に育てます」
空に浮かんだ月は、満月へと形を変えていた
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