5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/17(月) 02:10:58.04 ID:d7SAN4gj0
ふと歩いていると、とてもきれいな声が聞こえてくる
進んで行くと通行人の波の先には歌う少女が一人
自分の存在に気がつくと、彼女は歌を止めこちらに声をかけた
千早「ようこそ、旅の人」
澄み切ったその声は、歌を歌っていたことを確信づけるほど聞き惚れてしまうものだった
千早「ここは、喜びの地です」
軽く頭を下げ、また少女は歌い始めた
少女はきっと、今までもずっとそうやってきたのだろう
この少女の歌を聞けば、否が応でも喜びを謳うだろう
ところがどうしたことか、この少女の周りを行く人々は
彼女のことなど目にもくれてやらない
一人ひとりの顔を見れば、それは幸せそうな顔をしているのが分かると言うのに
リズムに合わせて歩く人さえ見えると言うのに
嗚呼、なんて可哀想な少女なんだ
きっとこの少女が歌うということは、この人たちにとって当たり前なんだ
空気のを吸う、そんな風にこの声を聞くことが…
1つ、また1つと歌い終えても拍手喝采は聞こえることがない
それでも歌うことをやめない少女
それでも褒めることを知らない人々
全て、当たり前なんだ
千早「〜♪……ふぅ」
パチパチパチパチ
次の歌が終わったころに、自分は目いっぱいの拍手をした
どうかこの人が、賛美の喜びを得られますように
壊れたおもちゃみたいに、それしかできない自分は
絶えず拍手を続けるのだった
42Res/55.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。