過去ログ - ヘドニスティックおねえさん
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1: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:11:10.67 ID:BrLWH5F00

特にやることもないから散歩に出る。

ついさっきセミの声に起こされたばかりなのに陽は少し西に傾いていて、自分のぐうたら具合をひしひしと感じてしまう。

十分ほど歩いたところで並んで河原に腰かけている学生服の男女が目に入った。

聞こえてきた会話から察するに先輩後輩の関係なんだろう。二人とも淡々とした口調だけど、わざわざこんな所で雑談をしている辺り楽しいんだろう。

「少し不思議なふいんきが好きなんです」

「僕も好きだな」

そんなやり取りが耳に入る。

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2: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:19:27.68 ID:BrLWH5F00

それはふいんきじゃなくて雰囲気だ、と心の中で会話に突っ込みを入れながら二人の後ろを通り過ぎる。

Tシャツに汗がにじむ。タオルでも持ってくれば良かった。

以下略



3: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:27:41.39 ID:BrLWH5F00

ボロアパートの扉を開くと、蚊取り線香の匂いと共に閉じ込められた熱気が纏わりついた。

部屋にいる蚊を一網打尽にしようと、閉め切った部屋で蚊取り線香を焚いたのは失敗だったと後悔する。外に出たことに対してのを含めるとこれで二度目の後悔だ。

以下略



4: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:36:38.19 ID:BrLWH5F00

文句の一つでも言ってやろうと思って網戸を開き窓柵に手をかけ、身を乗り出す。

隣の部屋の窓柵に身体を預け、ゆっくりと煙を吐き出す見知らぬおねえさんがそこに居た。

以下略



5: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:46:04.07 ID:BrLWH5F00

「おや、ホントに来てくれるとは思わなかった」

隣の部屋の扉をノックした僕を、おねえさんはそう言って迎えてくれた。

以下略



6: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:53:25.47 ID:BrLWH5F00

カラン、と小気味のいい音を立ててコップに氷が落とされる。

「うん、ちゃんと冷たい」

以下略



7: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:01:40.72 ID:BrLWH5F00

僕の向かいに膝を立てて座ったおねえさんは、そのまま身体ごと容器を傾けてコップに麦茶を注ぐ。

麦茶の波にのまれて氷がクルクルと回るが、僕は他の事で頭がいっぱいだった。

以下略



8: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:11:17.79 ID:BrLWH5F00

夏と言えば麦茶ですから、と答えた僕におねえさんはきょとんとした顔をしながら「うん? ……ああ、そうだよね」と麦茶に口を付ける。

「ちょっと一服させてもらうよ」

以下略



9: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:22:59.92 ID:BrLWH5F00

「タバコ、吸ったことないの?」

おねえさんがゆっくりと煙を吐きながら聞く。僕は無言で首を縦に振った。

以下略



10: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:32:09.40 ID:BrLWH5F00

「おかわりするかい?」

少し無理のある体勢だったのか、おねえさんは腰に手を当てて微笑む。

以下略



11: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:44:06.29 ID:BrLWH5F00

こぽこぽこぽ、と予想外の音が聞こえ、思わず僕は目を開けた。

見ると、おねえさんが僕のコップに麦茶を注いでいた。

以下略



12: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:58:46.10 ID:BrLWH5F00

「あ、ヤバい」

僕の後ろを見上げ、おねえさんが立ち上がる。

以下略



13: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 19:07:34.06 ID:BrLWH5F00
これにて終了です。煙草を吸ったことがないのはこういう形で初めての喫煙をしたいと思ってるからです
キスもまだなのはこれもまた同じ理由なのです。多分


14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/23(日) 19:31:07.05 ID:kLbdZtYk0



15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/23(日) 19:57:28.57 ID:arD0YWY40

夏の描写がすごいな、どこか現実感のない非日常って感じがありありと想像できた


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