2: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:19:27.68 ID:BrLWH5F00
それはふいんきじゃなくて雰囲気だ、と心の中で会話に突っ込みを入れながら二人の後ろを通り過ぎる。
Tシャツに汗がにじむ。タオルでも持ってくれば良かった。
3: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:27:41.39 ID:BrLWH5F00
ボロアパートの扉を開くと、蚊取り線香の匂いと共に閉じ込められた熱気が纏わりついた。
部屋にいる蚊を一網打尽にしようと、閉め切った部屋で蚊取り線香を焚いたのは失敗だったと後悔する。外に出たことに対してのを含めるとこれで二度目の後悔だ。
4: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:36:38.19 ID:BrLWH5F00
文句の一つでも言ってやろうと思って網戸を開き窓柵に手をかけ、身を乗り出す。
隣の部屋の窓柵に身体を預け、ゆっくりと煙を吐き出す見知らぬおねえさんがそこに居た。
5: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:46:04.07 ID:BrLWH5F00
「おや、ホントに来てくれるとは思わなかった」
隣の部屋の扉をノックした僕を、おねえさんはそう言って迎えてくれた。
6: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 17:53:25.47 ID:BrLWH5F00
カラン、と小気味のいい音を立ててコップに氷が落とされる。
「うん、ちゃんと冷たい」
7: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:01:40.72 ID:BrLWH5F00
僕の向かいに膝を立てて座ったおねえさんは、そのまま身体ごと容器を傾けてコップに麦茶を注ぐ。
麦茶の波にのまれて氷がクルクルと回るが、僕は他の事で頭がいっぱいだった。
8: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:11:17.79 ID:BrLWH5F00
夏と言えば麦茶ですから、と答えた僕におねえさんはきょとんとした顔をしながら「うん? ……ああ、そうだよね」と麦茶に口を付ける。
「ちょっと一服させてもらうよ」
9: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:22:59.92 ID:BrLWH5F00
「タバコ、吸ったことないの?」
おねえさんがゆっくりと煙を吐きながら聞く。僕は無言で首を縦に振った。
10: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:32:09.40 ID:BrLWH5F00
「おかわりするかい?」
少し無理のある体勢だったのか、おねえさんは腰に手を当てて微笑む。
11: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:44:06.29 ID:BrLWH5F00
こぽこぽこぽ、と予想外の音が聞こえ、思わず僕は目を開けた。
見ると、おねえさんが僕のコップに麦茶を注いでいた。
12: ◆4z2E.PK0ZYHD[saga]
2014/03/23(日) 18:58:46.10 ID:BrLWH5F00
「あ、ヤバい」
僕の後ろを見上げ、おねえさんが立ち上がる。
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