13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:24:19.12 ID:I629TTwQo
  
  チャイムを鳴らして、息を整える。 
  いつものあかりの足音が聞こえて、それから玄関の扉を開いて出てきた幼なじみに、私は言った。 
  
 「あかり、砂鉄集めに行こうぜ!」 
14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:24:50.75 ID:I629TTwQo
  
  ◆ 
  
  我ながらいきなりすぎる訪問だとは思ったけど、あかりは文句ひとつ言わずについてきてくれた。 
  これが結衣なら小言のひとつや百つくらいは言っていただろう。 
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:25:31.96 ID:I629TTwQo
  
 「京子ちゃん、よく見たら髪がむちゃくちゃだよぉ」 
  あかりはちょっと背伸びをして私の髪を手で撫で付ける。 
  
 「おお、走ってきたからなー」 
16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:26:06.98 ID:I629TTwQo
  
 「えへへ。すこし風が強いけど、お日様が気持ちいいね」 
  
 「春分の日を過ぎたから、これからずっと夜より昼のほうが長いんだぞ」 
  
17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:26:35.61 ID:I629TTwQo
  
 「京子ちゃんは春休みの宿題、もう終わった?」 
  
 「んー。当然まだ」 
  
18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:27:36.40 ID:I629TTwQo
  
  そうこうしてるうちに川に到着した。 
  こんなに気持ちがいい日だというのに、あたりには人がいない。 
  私たちは堤防の階段を使って川岸までおりた。 
  
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:28:02.99 ID:I629TTwQo
  
  
  私とあかりは河原に座って、思い思いに砂鉄集めを始める。 
  そばにいるだけで何も言わない。喋らない。 
  なんだか数年前にタイムスリップしたみたいだ。 
20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:29:10.99 ID:I629TTwQo
  
  ほんとうのところ、あかりは今日のことをどう思っているのだろう。 
  また京子ちゃんの気まぐれが始まったと思ってる? 
  あかりのことだから、砂鉄集めがほんとうに楽しくて来てるのかもしれない。 
  それとも、なにも考えてないとか。 
21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:30:18.07 ID:I629TTwQo
  
  
  私とあかりはそのあともほとんど会話もせずに作業を続けた。 
  二人のちょうど中間に置いたガラス瓶に、採った砂鉄を入れていく。 
  一時間ほどすると少しばかりの砂鉄が集まった。 
22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:30:59.14 ID:I629TTwQo
  
 「私、飲み物買ってくるよ。待ってて」 
  私は立ち上がって、来る途中にみた自動販売機に向かって歩き出す。 
  たしか、堤防の上にふたつ並んであったはずだ。 
  
23:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/24(月) 14:31:53.27 ID:I629TTwQo
  
  てきとうな飲み物(ほんとうにてきとう)ふたつを買って、川へと引き返す。 
  堤防の上から見ると、あかりは言われたとおり砂鉄をきれいにする作業をしているようだった。 
  
  ふと、昔もこんな風景を見たような気がした。 
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