37:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:07:44.27 ID:4vjrNWNfo
結衣。
って、口に出すの、そういや久しぶりかもしんない。
自分の口が形作った音を聴き、そのことに気づいてびっくりする。
あいつに最後に会ったの、いつだっけ。
38:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:08:24.93 ID:4vjrNWNfo
私たちは作業を続けた。
あかりは相変わらず黙っている。
私も。
川って、静かだとばかり思ってたけど、気づいてみると色んな音がする。
39:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:09:22.75 ID:4vjrNWNfo
私たちは今日、ここに何をしに来たんだろう。
あかりに会うことで、何を確かめたかったんだろう。
集まった砂鉄はほんの僅かで、もうすぐ夜になってしまう。
あのころ、夜が来るのが、私は怖かったな。
40:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:10:42.08 ID:4vjrNWNfo
「あっ」
ボーっとしていた私が追いかけるより早く、あかりが立ち上がってビニール袋を捕まえた。
「はい、京子ちゃん」
41:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:12:54.55 ID:4vjrNWNfo
川の音が聞こえる。
「結衣がさ」
ゆい。今日二度目に発音した音。
42:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:14:11.34 ID:4vjrNWNfo
どうしよう、言えない。
言って、どうなる。
言う意味なんてない。
言わないほうがいい。
43:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:14:51.58 ID:4vjrNWNfo
「結衣のことが好き」
そうなんだ。私は。あいつのこと。
「すごく、マジなほうの意味で」
私はこんなに喋るのがへただったかな。
44:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:15:24.90 ID:4vjrNWNfo
私は。
私は、結衣のことが好きでいいの?
この気持ちは、いいものなの?
このまま、好きでいていいの?
45:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:16:29.51 ID:4vjrNWNfo
そこには私の大好きなあかりのあの顔があった。
あかりは私を見て、にっこりと笑っている。
いつもみたいに。
46:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:17:09.97 ID:4vjrNWNfo
「あかり」
ありがとう。
そう言う代わりに、私は言った。
「さっきから、すごく気になってたんだけどさ」
47:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/25(火) 21:17:54.66 ID:4vjrNWNfo
◆
来た道を、私たちは帰っていく。
あかりの家へ。
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