38: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 12:32:15.27 ID:V7PLv1990
久しぶりに、語りかけてくる声が聞こえた。
あの夢以来。実に一週間ぶりだ。
ふっと佐天の視界が歪む。
――黒子と御坂さんに能力のことがバレなければいいんでしょ?
気がつけば佐天は、夢の空間にいた。
目の前にたつのは、鏡の自分。
『能力のことを二人に隠すために、能力を使えばいいじゃない』
「!」
にっこり笑う目の前の『もう一人の』佐天涙子は、同じ顔、同じ姿を持つ佐天から見ても魅力的だった。
人を惹き付けるパフォーマンス――能力だ。
「…駄目だよ、そんなの。あたしはあの二人を裏切ることなんて」
『じゃあ、嫌われちゃうよ?』
「っ!」
弱々しく反論する佐天は、鏡の自分に容赦なく詰め寄られて身じろぎする。
怖い。
『あたしの能力のことなんて知られたら一人になっちゃう。そんなの』
「そんなの嫌だよ…」
目の前の自分に呼応して、気づけば声が漏れていた。
あの二人に、友達に、嫌われたくない。
その思いが、能力を隠すために能力を使う、という矛盾さえも容認させようとしていた。
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