64: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 22:49:13.79 ID:V7PLv1990
「今日はこれで終わりよぉ。あなた、なかなかスジいいんだゾ☆」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「あなたの能力、今レベル3くらいよねぇ?」
唐突に聞かれて、佐天は目を見開く。
「え?二週間前の身体検査では――」
「二週間でレベル1から3。ま、一週間前から急成長を遂げてるからぁ、そこで嗜好の上書きがあったのねぇ」
ちゃんと訓練すればレベル4には届くわよねぇ、とこっそりと呟く。不思議そうな表情をする佐天の前でリモコンを向けると、唐突に景色が変わる。
「――っ!あれ…?」
突然『現実』に戻った――それを認識して、佐天が頭を振って立ち上がる。
(酷い目に遭った…だけじゃなくて、あたしの中の何かが反発してきてる…なんなのこれ?)
「目覚めたかしらぁ、あなた…あ、今はニセモノの方ねぇ。紛らわしいわぁ」
「あ…あなたは!」
佐天涙子の表層意識、『上書き(ドッペルゲンガー)』が警戒を表す。その表情がたまに揺れる。
「あらぁ、本物の方の抵抗が強まってるのねぇ?安定してないわよぉ」
「いらないことを…しないでくださいっ!」
珍しく余裕げな態度を捨てて怒りを表す上書きに、食蜂はクスクス笑いを漏らす。
「いい?明日もこの時間にここに来てねぇ」
「ふざけ」
「えいっ☆」
言い返そうとした佐天の頭に、食蜂のリモコンが向く。その瞬間、佐天――上書きが黙りこむ。
「この時間にここに来てねぇ…返事はぁ?」
「は…はい」
得体の知れない威圧感に押され、佐天は後ずさりながらも頷かされる。
その夜、佐天は心なしか、少しよい眠りにつけた気がした。
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