32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:04:48.63 ID:z52Tat2Xo
言われたとおり、男は手に入れた金でしばらく遊んで暮らした。
しかし数ヶ月経つとその金も無くなり、自然とあの霊ことを思い出した男は再び彼の元へ訪ねていた。
するとこんなお告げがあった。
「ここから数駅離れた競馬場で今度開かれるレースに出る○○という馬の馬券を買ってみるといい」
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:05:52.37 ID:z52Tat2Xo
「○○が勝ちました。して、この配当金はいかがなさいましょう」
「好きに使って構わんが……」
「何かご要望がありそうですね。仰ってください」
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:06:20.84 ID:z52Tat2Xo
××プロダクションは規模も小さく歴史も浅い新興の芸能事務所だった。
当然、所属しているのは無名の新人ばかりで、上昇の気配は見えない。
しかし男は競馬の利益を全て使ってこの事務所の株を買った。
すると、その直後に新人の一人がブレイク。株価はあっと言う間に上がった。
男は文字通り桁違いの金を手に入れた。何年かは働かなくてもすむような金額だ。
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:06:56.74 ID:z52Tat2Xo
「利益が結構なものになりました。これをどうしましょうか」
「君が儲けたものだ。どう使おうと私が文句は言えんよ」
「何かお考えが?」
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:07:57.24 ID:z52Tat2Xo
さっそく男は手続きを済ませた。
ここからさてどうしようかと、男がビルの前で悩んでいると、スーツ姿の見知らぬ青年が男に話しかけてきた。
「あの、もしかしてこのテナントを借りた方でしょうか」
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:08:39.51 ID:z52Tat2Xo
男は今まで霊に言われてきたことと、その結果を思い出した。
男は言った。
「よろしければ、あなたの事業に一枚噛ませてもらえませんか。提供できる資金もそれなりにあります」
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:10:17.58 ID:z52Tat2Xo
こうして男が借りたテナントに新たに芸能事務所が出来た。
やはりこれも霊に報告した。
「結局、独断ですがそういうことになりました。次に何をすれば?」
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:13:42.77 ID:z52Tat2Xo
男はビルを見上げていた。
件の事務所がある窓には、ガムテープで社名を表す数字が書かれている。
男はそれを見ていた。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:15:29.13 ID:z52Tat2Xo
「この小さな小さな芸能プロダクションは、言わばあの男の碑というやつだ。同時に俺の碑とも言える」
「俺の人の良さと欲のなさ……いや、欲のありすぎかな」
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/04/09(水) 23:16:23.49 ID:GNMp13xOO
おもしろい
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/09(水) 23:17:04.67 ID:z52Tat2Xo
当たり前だが元ネタはもっとすっきりしていて面白い
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