267:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/30(月) 09:43:50.15 ID:aFMIt3ru0
07
「女子9番近藤美穂さん」
近藤美穂(女子9番)は暗い表情で席を立ち上がり、デイパックを受け取った。
何で、私達がこんなことしなきゃいけないんだろ?こんなの、絶対に間違ってるのに。
担当教官に何か言ってやりたい。でも、恐怖が上回り、言えなかった。美穂そのまま外に出た。
外に出た美穂は何処に行けばいいのか迷った。「何処、行ったらいいんだろ?」
取り敢えず左方向へ一歩進んだとき、近くの茂みからガサガサ、と音を立てた。
「っ!? 誰!!」「美穂!私よ!」
数分前に出発した木原燎子(女子8番)が茂みから飛び出してきた。「燎子!良かった!何処か行っちゃったって思ってた!」「待ってて当然よ!それより早く!」
燎子は美穂の腕を掴み、先程の茂みに突っ込んだ。
「ここね、以外と見つかりにくいのよ。 だから隠れるには売ってつけの場所だわ」「へぇ、そうなんだ」
それから少しして斎藤実里(女子10番)、田中友里(女子11番)とも合流することが出来た。「後は朋美だけだね」「そうだけど、確か最後に出発するんだよね」
友里が不安そうに言った。確かにその通り、若村朋美(女子20番)は最後に出発する。朋美が出発するまでかなりの時間が掛かる。それまで自分達は待っていられるだろうか?その時、燎子が口を開いた。
「ね、一応さ武器を確認しとかない?」
「武器、か……そういやそんなものも入ってたんだっけ」「私の何だろ?」「えーと、私の武器は……」
少しして美穂達はお互いの武器を見せあった。美穂の武器は縄跳びだった。外れだと落ち込んだが、燎子が「鞭とか足を引っ掛けるトラップに使えるかもよ」と言ってくれたので、取り敢えず当たりと思い込んでおくことにした。
実里の武器は風邪薬だった。燎子が「これで風邪になっても安心ね」と喜んでいた。友里の武器はアイスピックだった。燎子は「無いよりマシ」と言ってくれたが、苦笑していた。
「それじゃ、最後は燎子だね。 武器見せて」「……うん、私のは、これ」
燎子はデイパックから銀色に輝く塊ーーーデザートイーグルを取り出した。
それを見た三人は目を見開いた。
「り、燎子……それ……」
実里が震えた声で燎子に問う。
燎子は俯いたまま言った。
「本物。説明書と銃弾も入ってた」
四人に沈黙が訪れた。
これを人に向けて撃てば、間違いなく死ぬ。
「ちょ、ちょっとみんな、黙らないでよ! 私がやる気になってるって思ってるの!?」「い、いや、違う! 違うからね!」「わ、私も疑ってないよ! ただ、その、銃を生で見たの初めてだったから……」「そうそう! 誤解しないでーー」
その時、ズドン、と大きな音がした。瞬間、友里の足元の土が抉り取られた。
「ひっ!?」
突然のことに友里は咄嗟に飛び退く。そして、銃声。今度は燎子のすぐ近くに生えている木に命中した。
「嘘、何!? 何よこれ!?」
「みんな!逃げよ!!」
燎子の言葉に全員が頷き、一斉に走り出した。その後も何発か銃声が鳴ったが、幸運にも誰にも当たらなかった。
「皆逃がしちゃった」
和英智樹(男子17番)は残念そうにマイクロウージーを下ろした。
「ま、いいかどうせ生き残るのは僕なんだし」
ウージーを見つめ、ふふ、と笑った。
これさえあれば僕の優勝は確実。
見てて、パパ、ママ。絶対に生きて帰るから。安心してね。
こうして智樹はゲームに乗った。智樹はデイパックを担ぎ直し、クラスメイトを[ピーーー]ため歩き出した。
【残り38人】
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