126: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/20(日) 00:42:11.81 ID:ZAqq2qmq0
顔を挙げれば目つきの悪い女がいた。生徒会会計、時任一時。国立理系の彼女が国立文系の我がクラスに来るのは珍しい光景だ。
腕章「なに」
会計「新聞部さんに印刷お願い」
そう言ってペラ紙一枚を差し出す。生徒会便りだった。
腕章「そんなの生徒会のコピー機でやんなさいよ」
この女は苦手だ。口先三寸をのらりくらりとかわしやがるから。
会計「うちの輪転機、調子が悪いのよ」
輪転機ってなんだ、輪転機って。コピー機って言いなさいよ。わざわざ面倒くさい言い方しよってからに。
あたしは生徒会便りに目を通した。最近不自然な交通事故が多発しているため、気を付けて下校しましょうというような趣旨だった。こんなの誰が見るんだか。
腕章「まぁ、いいけど。『天網恢恢疎にして漏らさず』、神様もあたしの善行、見ていらっしゃるかもしれないし。ねぇ?」
含みを持たせた視線を向ける。世の中は持ちつ持たれつ。生徒会とは仲良くしていたほうが、色々特だ。
会計「ありがとう、助かるわ」
腕章「いいってことよ。印刷しといてあげる。昼休みまででいい?」
会計「大丈夫よ。早ければ早いだけいいわ。『時は金なり』。でしょう?」
あたしと喋る時間も惜しいと言外に語る会計は足早に去っていく。あたしは彼女が完全に消えたのを見送ってから、鼻で笑った。
何が『時は金なり』だ。ネットワークが発達した現代社会において、時間の価値なんて相対的に薄れているというのに。
本当に金を生むのは情報だというのに。
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