206: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:11:41.20 ID:VukTWdSA0
「……」
同情しているのだろうか? 俺が? らしくもない。
ただ、ここでこいつを殺すことが、正義に悖るとは思わなかった。
だから木刀を振り下ろす。
単純な作業だ。簡単な行為だ。そして、この恐ろしく楽な動作によって、俺の優勝が決定する。
ムム「おめでとう。これできみの優勝が確定した」
思考をトレースした言葉をムムが吐いた。不思議と安堵の感情は浮かんでこない。叫びだしたくなるような歓喜も。
詰襟「……」
ムム「思ったより静かなんだね。疲れたのかな? それとも、今更ながらに罪悪感?」
そんなことはない。正義のための礎ならば、死者も満足してくれるだろう。
ムム「まぁ気にするもんじゃない。大事なのは、きみが生き残った。優勝したという事実、それだけさ」
詰襟「優勝……」
遅れて実感と感慨がわいてきた。俺はやり遂げたのだ。
ムム「なんだよ、もっと喜びなよ。喜んでくれよ」
詰襟「いや、悪い。なんか、まだ、飲み込めてなくてな」
ムム「きみは優勝したんだ。そのぶん喜んでもらわなくちゃ、僕たちも困るってもんだよ」
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