過去ログ - 少女「有言実行、しましょうか」
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70: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 01:03:13.48 ID:9NO0r5n60

 銃弾は逸れていった。彩人は流石に銃を見て分が悪いと判断したのか、迷いなく後ろへ逃げ出す。

腕章「逃がさない。逃げらんないわ」

 最早彩人はあたしにインプットされた。範囲内に彼女がいれば、あたしは絶対に見逃さない。追いかけっこの始まりだ。
 駆けだそうとして何かに躓き、盛大に地面へ叩きつけられた。咄嗟についた手のひらが擦れてひりひりと痛む。苛立ちの募る、涙が滲むような痛みだ。

腕章「っく、なんなのよ、もう!」

 見ればスニーカーの紐が解けていた。どうやらそれを踏んで転んだらしい。
 あぁ、もう。腹が立つ。なんでこんなときに。

 そこでようやくあたしは周囲がざわつき始めているのに気付いた。そりゃそうだ。車が家に突っ込んで、しかもあたしは猟銃をぶっ放しているのだから、どう考えたって穏便ではない。
 近づこうとする者さえ皆無だけれど、それでも野次馬根性だけは一流で、遠くから携帯のカメラでぱしゃぱしゃやっているのが何人もいる。これはまずい。顔を映されるわけにはいかない。

 そのうちに遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。くそ、誰か通報したな。当然か。
 けどここで捕まるのはまずい。無根拠にあの宇宙人がなんとかしてくれると信じられるほど、あたしはあの宇宙人を信頼しちゃいない。

 靴紐を結ぶのさえほどほどにして、でも人ごみをかき分けて出ていく気もさらさらなくて、あたしはとにかく逃げ道を探す。こんなところで終わっていられない。あたしの理想の世界のために。
 ステップを踏もうとした左足が地面から離れない。また靴紐を踏んだのだと気付いたときには、あたしはまたつんのめって、地面に倒れこんでいた。
 がしゃん、と猟銃が音を立てて地面に転がる。あたしは慌ててそれを拾い上げた。暴発でもされたらたまらない。



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