14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/18(金) 12:33:13.95 ID:xeDtmg+30
他のアイドルたちにも、あまり聞かない質問。
日常において別世界の住人とも言えるアイドルを目指そうとする彼女たちにはそれぞれ理由があるのだろう。
それは菊地やあずささんのようにわかりやすいものから、接していくうちに何となく理解出来たりする子もいる。
けれど、星井だけは半年経った今でも僕には到底理解が及ばなかったのだ。
何でも出来て、それでいてマイペースにアイドルと日常をこなす彼女には、土台と呼べるべく骨子が見当たらないのだ。
だからだろうか、ふと口を突いて出てしまった。
「ミキはね、キラキラしたいんだ」
「キラキラ?」
「うん、誰よりもキラキラしたいの……いちばん……」
夢うつつでそう呟くと、星井は座りながら船を漕ぎ始めた。良く寝る奴だ。
スタジオに着くまでは寝かせておいてあげよう。
キラキラしたい、か。
一見菊地の女の子らしくなりたい、というそれに似通っている気もするけれど、恐らくは全く別の指向性を持っている。
星井はきっと、何でも出来るが故に更なる困難へと臨んでいく類の人間なのだろう。
アイドルという職業は思い通りに行く確率の方が遥かに低い。
何せ、飲食店や書店のように、明確な商品と価値が見当たらない。
そりゃあCDや写真集、テレビやライブ出演などを商品とすればいくらでも挙げられるが、どれにしたって最終的に評価されるのは自分自身に準じたものとなる。
価値にしたって、他人を準拠にしなければならない。非常に曖昧なものだ。
結果的にものを言うのが、自分への自信の強さがイコールとなる。
それがアイドルという職業でもあるのだ。
星井が言いたいのは『自分の価値を高めたい』と、そういうことなのだろう。
まるで太陽だな、と陳腐な比喩が思い浮かんだ。
自分勝手で眩しく光り輝いていて、それでいて周囲に力を与えてくれる。
お気楽な外面に反して強い意志を持つ星井の事が少しだけながらも理解出来た気がして、その日の営業は何となくだが、上手く行く気がしたのだった。
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