過去ログ - モバP「見えた今に絶えぬ未来を」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:44:24.42 ID:dbLyof+Po


 この世界には、一番を決めなければならないルールがあるものだ。
 かけっこでも試験でもじゃんけんでもゲームでも、勝負であればかならず一番は存在する。

 それはこの世界――アイドル界にも存在していた。


 総選挙、という固有名詞がある。
 それはこの世にひしめくアイドルたちが一位を競い、真の偶像を決める戦いである。
 毎年開催され、その度にありとあらゆる個性のアイドルが競い合って一位を……シンデレラガールを狙うのだ。

 あるアイドルは、類まれな美貌で。
 あるアイドルは、比類なき舞で。
 あるアイドルは、穢れ無き声で。
 それぞれが持つ最高の物を披露して、頂点を決めるのである。

 そう、この総選挙の発表特別番組が昨日放送されていたのだ。
 夜八時、全世界のファンたちの数で競うシンデレラガール総選挙がテレビで放映されていた。
 誰もが憧れるその座を、誰もが羨むその座を目指して来た結果が、前夜、放映されていた。

 幾万といるアイドルの中でトップに輝くのは誰か。
 期待と不安を煽るようなナレーションとともに、ランクインしたアイドルの名が順に叫ばれていく。
 50位から始まって、上へ。
 有名なアイドルから無名なアイドルまで、かつての行動など関係なく純粋に人気が高い人が呼ばれていく。
 仕事柄知り合った同業者のアイドルも呼ばれていく。
 順位はどうであれ、きっと感動を分かち合っているのだろう。
 涙を流して、得た地位に喜び舞い上がっているのだろう。

 俺もそうありたい。その名が呼ばれた瞬間に歓喜に打ち震えたい。
 だからただ待ち続けた。そして、遠くにいる彼女も待ち続けたはずだ。



 しかし、放映が終わるまでに司会の声が彼女の名を呼ぶことはなかったのであった。





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