過去ログ - モバP「見えた今に絶えぬ未来を」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:48:22.00 ID:dbLyof+Po


「Pさんも見るんですね」
 彼女が微笑む。
 その度、チクリ、と胸が痛んだ。

 清々しい笑顔である。片時も忘れることなんてできないありのままの笑顔。強烈な印象ではないのにどこか記憶に染みこむような飾り気のない笑顔を放っていた。
「誰だって見るさ」
「それもそうですよね、ふふ」
 俺がそう他愛なく返すと、再び翠は声を漏らした。

 その顔はとても清らかで爽やかで……ふと、疑心してしまう。


 翠は、本当にこの結果を知っているのだろうか?
 当然ながら翠だって昨日が発表の日であった事を知っているはずだ。
 にも関わらずそう邪推してしまう程、彼女の行動は常々感じる当たり前の日々と何ら相違がないのである。

 現実とは、刻まれなかった数字として表れた。
 平々凡々なアイドルという烙印を押されたようなものなのだ。

 それを、まるでなかったことにして今この事務所に立っているような気がして――思わず俺の口が滑りだす。

「……俺の力不足だ。悪かった」
 腰を折り、相手に頭を垂れる。そんな俺の姿を彼女はどう見ているのだろう。
 地面に顔を向けているのでわかりようもないが、心だけは更に地面に近づいていた。

 できることなら、土下座をしてでも謝りたい。持ちうる全てを以ってしても謝罪したい。
 俺を信じて付いてきてくれた結果がこれなのだから、彼女に対して申し訳が立たないはずがないのだ。

 それを、翠は小さく声を鳴らして遮った。
「気にしないでください」
 少しだけの言葉で、俺の頭を起こす。





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