19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/23(水) 18:44:03.67 ID:KjY5e/6Q0
003
ここで時計の針をちょうど二十時間前に戻したいと思う。
営業を一通り終え、思ったより時間の余った僕は突然、無性に甘いものが食べたくなったのである。
天海と忍のおかげで日々糖分に不足しないせいか積極的に甘味を好む僕ではないのだが、時々こんな衝動に刈られることは、僕にも人並みにあったのだ。
たまにはサラリーマンらしく喫茶店でケーキでも食べてサボろう、と秋月に小さな反旗を翻し(でも経費は使わない。いや使えない。怖いから)飲食店の立ち並ぶ街へと繰り出した。
久し振りに外で食べるスイーツだ。
過去に外で本格的なスイーツを食べたのは、ひたぎとビュッフェでのケーキバイキングが最後ではないだろうか。
だがあれはひたぎのお父様からいただいた無料券があった上にひたぎがバイキングにも関わらず僕の分まで食べてしまったため、満足したとは言い難い。
「ふっ……」
僕はニヒルに笑って一枚の紙を懐から取り出す。
事務所のプリンターから出力されたその紙には(ちなみにこの紙も自費だ)現在ナウでヤングな大流行のケーキ店の割引券が印刷されていた。
ここは学生の頃とは違い無駄金を使えると言う社会人の特権を最大限利用してやろうではないか!
忍が顔をしかめるくらい血液が甘くなるまでケーキを喰らってくれよう!
実際そこまで甘くなったら糖尿病どころの騒ぎではないが、まぁそれくらいの心意気で僕は来たのであった。
来たのだった……が。
「……」
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