25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/23(水) 18:54:11.91 ID:KjY5e/6Q0
――という一連の出来事があり、今日で早くも三日目を迎えていた。
しかし単純にものが食べられなくなる、というだけの怪異で良かった。
全く食べられないにしても三日ならば人間生きられるだろうし、放っておいても良かったのだが……さすがに胃袋とやる気が直結していそうな四条を三日断食させるのは少々可哀想だ。
「おはよう――」
今日を乗り切ればようやく四条の、天国と地獄の狭間のような日々から抜け出せる――そんな解放感と少しの裾を引かれる思いの中事務所に出勤すると、
「あら、おはようプロデューサー」
「おはようございます、あなた様」
「おはようだぞ!」
「おはようハニー! ミキ今日早起き出来たんだよ!」
えらい?と抱きついてくる星井や同席している我那覇、ましてや現時点で問題になっている四条の症状や容態なんてどうでもいい、と斬って捨ててしまいたくなるような、自分の眼どころか世界そのものを疑いたくなる事象がそこにはあった。
日本の文化としての地位を確立したマンガにおいて、驚く時の比喩表現に目玉が飛び出す、という奇々怪々なものがあるが、今の僕はまさにそんな感じだ。
もし僕がギャグ漫画の住人であれば間違いなく眼が十センチは飛び出していたと断言できる。
四条と星井の対面に座るのは、間違いなく僕の見知っている顔だった。
出来ることならば夢であって欲しいと僅かな希望を賭けて頬を引っ張るが、残念なことに僕の頬は小さな痛みと共に伸びるだけだった。
「どうしたのプロデューサー、面白い顔をしているじゃない」
彼女は心底楽しそうな顔をして僕をプロデューサーと呼んだ。
「アイドルの皆さんに聞いたわよ、担当アイドルにハニーと呼ばせたり手ずからご飯を食べさせてあげたりしているそうじゃない?」
目玉が飛び出すところか抉られそうな重い空気の中、彼女は一寸たりとも眼が笑っていない笑顔を振り撒きながら僕に問うのだった。
「どういうことか、聞かせてもらえるかしら、ハニー?」
「ひ、ひたぎ……?」
ここにいる筈のない戦場ヶ原ひたぎが、そこにいた。
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